遺言信託にかかる税金とは?
相続税・贈与税・所得税、節税の注意点を解説
「遺言信託を利用すると、どんな税金がかかる?」「節税になる?」という疑問をお持ちの方へ。遺言信託と税金の基本から、相続税の基礎控除、贈与税が関係するケース、二次相続までわかりやすく解説します。
まず確認
遺言信託を利用しただけで、一律に特別な税金がかかるわけではありません。財産や信託に関する権利を「誰が・いつ・どのように取得するか」によって、相続税・贈与税・所得税などの扱いが変わります。また、「遺言信託」は金融機関等の遺言関連サービスを指す場合と、遺言によって信託を設定する法律上の仕組みを指す場合があるため、まずどちらを検討しているのか整理することが大切です。
1. 遺言信託とは?まず押さえるべき基本
一般に「遺言信託」という言葉は、信託銀行などが提供する遺言書の作成支援・保管・遺言執行等のサービスを指して使われることがあります。一方、法律上は、遺言によって信託を設定し、受託者に財産の管理・承継を託す仕組みもあります。
ポイント:税金は「遺言信託」という名称だけで決まるわけではありません。誰が受益者になるのか、いつ権利を取得するのか、どのような信託なのかによって課税関係が変わります。
2. 遺言信託にかかわる主な税金は3種類
信託の内容によって異なりますが、遺言信託や財産承継に関する信託では、主に相続税・贈与税・所得税を確認します。
死亡をきっかけとして財産や信託に関する権利を取得する場合などに関係します。
生前に対価を負担せず、信託の利益を受ける権利を取得する場合などに関係することがあります。
信託財産から賃料・配当などの収益が生じる場合、信託の種類等に応じた確認が必要です。
信託では「財産そのもの」だけでなく「信託に関する権利」が課税上問題になることがあるため、契約内容を確認することが大切です。
3. 財産を受け取ったときにかかる税金|相続税が中心
死亡を原因として財産や信託に関する権利を取得する場合、相続税が関係することがあります。ただし、財産を受け取れば必ず相続税が発生するわけではありません。
課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要になる可能性があります。信託財産に不動産や有価証券などが含まれる場合は、財産評価も重要になります。
4. 遺言信託で贈与税が発生するケースとは?
「相続のための信託だから贈与税は関係ない」とは限りません。生前に信託を設定し、委託者とは別の人が対価を負担せず受益権等を取得するような場合には、贈与税の検討が必要になることがあります。
注意:信託の設定時・受益者の変更時・信託終了時など、権利関係が変化する場面で課税関係が生じることがあります。受益者連続型信託などには特有の税務ルールもあるため、専門家への確認が大切です。
5. 信託財産の運用益にかかる税金|所得税の対象
信託財産が賃貸不動産や株式などの場合、賃料・配当等の収益が発生することがあります。誰に所得が帰属するかは、信託の類型や契約内容によって異なります。
不動産を含む場合は、所得税だけでなく固定資産税や、登記・財産移転に関連する税金・費用についても個別に確認しましょう。
6. 遺言信託の手数料に税金はかかる?
金融機関等が提供する遺言関連サービスでは、遺言書作成支援、保管、遺言執行などに費用がかかる場合があります。料金体系や消費税の扱いはサービス内容によって異なるため、契約前に見積書の内訳を確認することが大切です。
- 申込時・遺言書作成時に必要な費用
- 遺言書の保管に関する費用
- 相続発生後の遺言執行報酬
- 専門家報酬、登記・名義変更等に必要な実費
7. 遺言信託を節税目的で使うのは注意が必要
遺言信託は財産の管理・承継を整えるために有効な場合がありますが、利用するだけで自動的に相続税が安くなる制度ではありません。節税だけを目的にせず、家族構成・財産内容・承継の希望を踏まえて検討しましょう。
相続対策として比較したい制度・方法
- 生前贈与:贈与時だけでなく将来の相続税まで含めて検討する
- 相続時精算課税:2024年以後は年110万円の基礎控除が設けられています
- 配偶者の税額軽減:一次相続だけでなく二次相続も考える
- 生命保険:相続人が受け取る一定の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります
8. 二次相続まで見据えると税負担が変わる
一次相続で配偶者へ多く財産を残す方法が有利に見えても、その配偶者が亡くなった際の二次相続まで含めると、家族全体の税負担が変わることがあります。
特に不動産など評価額の大きな財産がある場合は、一次相続だけで結論を出さず、将来の財産構成や相続人の状況も踏まえて試算することが大切です。
9. トラブルを避けるためのポイント
遺言信託では、誰が受益者になるのか、いつ権利が移るのかによって課税関係が変わることがあります。契約前に次の点を整理しておきましょう。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 遺言信託の意味 | 金融機関の遺言関連サービスなのか、法律上の信託なのかを確認する |
| 受益者 | 誰が、いつ、どの権利・利益を取得するのかを整理する |
| 課税タイミング | 設定時・相続発生時・受益者変更時・終了時などを確認する |
| 二次相続 | 配偶者の次の相続まで含めて検討する |
| 専門家への相談 | 税務は税理士、法務・登記は必要に応じて各専門家へ確認する |
遺言信託と税金についてよくある質問
10. まとめ|遺言信託と税金はセットで理解しよう
遺言信託は、財産の管理や承継を考えるうえで選択肢の一つになります。ただし「遺言信託」という名称だけでは税金の扱いは決まりません。誰が受益者になるのか、いつ権利が移るのか、信託終了時に誰が財産を取得するのかによって、相続税・贈与税・所得税などの関係が変わります。
契約前に家族関係と財産を整理し、税務については税理士、法務・登記については必要に応じて各専門家へ確認しながら進めることが安心につながります。
情報確認日:2026年8月
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務・法務判断を行うものではありません。制度・税制は改正される場合があります。具体的な税務は税理士、法務・登記は必要に応じて各専門家へご確認ください。




