家族葬で起こりやすいトラブル事例と対策|親戚・香典・費用の注意点
1. はじめに|家族葬が増える中で、見過ごせないトラブルも増加中
近年、葬儀の形式として選ばれることが多くなった「家族葬」。小規模で費用を抑えやすく、家族だけで静かに見送れるという理由から、特に都市部を中心に需要が高まっています。
しかし、その一方で「誰を呼ぶか」「費用は誰が負担するのか」「香典は辞退すべきか」など、従来の一般葬とは異なる要素が多く、意図せずトラブルになるケースも増えています。
この記事では、家族葬で起こりやすい代表的なトラブル事例と、その対策についてわかりやすく解説します。
2. 家族葬とは?一般葬との違いを確認しよう
「家族葬」とは、文字通り家族やごく親しい親族・友人など、限られた人数で執り行う小規模な葬儀を指します。近年では、全体の約30〜40%が家族葬を選んでいるとも言われており、特に高齢者層を中心にそのニーズは年々高まっています。
背景には「人付き合いが減ってきた」「故人の遺志で静かに見送ってほしい」といった価値観の変化や、経済的な負担を軽くしたいという希望もあります。また、コロナ禍以降は感染症対策の観点からも家族葬を選ぶ方が増加しました。
一方、従来の一般葬とは参列者の範囲や告知の仕方、香典の扱い、式の内容などに明確な違いがあります。下表でその主な違いを確認しておきましょう。
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項目 |
家族葬 |
一般葬 |
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参列者の範囲 |
家族・親族中心(10~30名) |
親戚・友人・職場関係など多数 |
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告知範囲 |
限定的(故人の希望による) |
広く周知することが多い |
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香典対応 |
辞退するケースが多い |
受け取るのが一般的 |
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会場 |
小規模な式場や自宅など |
会館や寺院などが多い |
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費用相場 |
約30~100万円前後 |
約100~200万円前後 |
家族葬は時間や儀礼の面で柔軟に対応しやすく、遺族の精神的負担も軽減しやすい一方で、形式の自由度が高い分、葬儀に関する共通認識が周囲とズレてしまうこともあります。そうした行き違いが、後々のトラブルにつながる可能性があるため、形式だけでなく「周囲への説明や配慮」も重要なポイントです。
3.【トラブル1】親戚から「なぜ呼ばなかったのか」と不満が出る
■ どういう問題が起きやすいのか?
家族葬では「知らせる相手」を限定するため、知らせなかった親戚から「なぜ教えてくれなかったのか」「最後のお別れをしたかった」などの苦情を受けるケースがあります。
特に地方に住む年配の親戚などは、葬儀=一族の重要な行事という認識が強く、呼ばれなかったことを「軽視された」と感じてしまうことも。
■ 対策:事前の説明と配慮を忘れずに
- 「家族葬で執り行う予定」と事前に説明する
- 故人の希望である旨を伝えると角が立ちにくい
- 葬儀後に「葬儀を終えたご報告」として、手紙や挨拶状を送る
トラブルを避けるには、呼ばないと決めた場合でも「知らせない」のではなく「知らせた上で参列をご遠慮いただく」形にするのが望ましいでしょう。
4.【トラブル2】香典辞退を巡る混乱
■ どういう問題が起きやすいのか?
香典を辞退したはずなのに持参されてしまい、対応に困ったという話は少なくありません。また、辞退の意思が伝わっておらず「香典を用意していなかったことが失礼だったのか」と誤解を与える場合もあります。
■ 対策:訃報連絡と受付での周知徹底
- 訃報連絡や案内状に「香典辞退の旨」を明記する
- 会場の受付にもその旨を掲示する
- 万が一受け取ってしまった場合は、後日お返しを郵送するなど柔軟に対応
香典辞退はマナー違反ではありませんが、伝え方とフォローが重要です。
5.【トラブル3】費用の負担で揉めるケース
■ どういう問題が起きやすいのか?
「費用を誰がどれだけ負担するか」について明確に決めていなかったために、兄弟姉妹間や親戚との金銭トラブルに発展する例もあります。
「誰かが全額負担したのに他の家族が知らん顔していた」といった不公平感が火種になることも。
■ 対策:葬儀前に費用の分担を明確化
- 総額見積もりを把握し、関係者に共有
- 誰がいくら出すのか、あるいは全額喪主が出すのかを事前に話し合う
- 契約書や領収書は後で確認できるように保管しておく
金銭に関する問題は親しい関係でも起こりやすいため、口頭ではなく文面で記録に残すことも有効です。
6.【トラブル4】供花や弔電の扱いに関する誤解
■ どういう問題が起きやすいのか?
家族葬では供花や弔電も辞退するケースが多いですが、辞退の意思が伝わっておらず送られてくることもあります。
また「供花を出したのに名前が飾られていなかった」「弔電が読まれなかった」と不満が出る場合もあります。
■ 対策:対応ルールをあらかじめ決めておく
- 供花・弔電も辞退する場合は訃報に記載
- 届いた場合は丁寧にお礼状を出すなど誠意ある対応を
- 飾らない場合も「心遣いを受け止めています」と伝える姿勢が大切
形式より気持ちを重視するのが家族葬の趣旨ですが、周囲への配慮も忘れてはいけません。
7.【トラブル5】参列したかった友人・知人の不満
■ どういう問題が起きやすいのか?
家族葬では参列者を限定するため、故人の友人・知人に連絡しない場合も多いですが、後日「知らせてほしかった」「最期にお別れしたかった」と言われることがあります。
特に職場関係や近所の方などは「当然呼ばれるもの」と思っていたという例も少なくありません。
■ 対策:葬儀後の報告とお別れの機会を設ける
- 葬儀後に報告状を送る、SNSで報告する
- 落ち着いた後にお別れの会や偲ぶ会を企画する
- メッセージや弔意を受け取る窓口をつくる(弔問帳や献花台など)
「故人との関係性を考慮し、弔意の場を別で設ける」ことで、納得してもらいやすくなります。
8.【トラブル6】菩提寺との関係悪化(事後報告による不信)
■ どういう問題が起きやすいのか?
菩提寺との関係があるにもかかわらず、家族だけで葬儀を済ませたことを後から伝えると、「なぜ先に相談しなかったのか」と不満を持たれることがあります。
特に戒名や法要、納骨の手続きなどで寺院との関係がある場合、今後の供養にも支障をきたす可能性があります。
■ 対策:家族葬でも事前に菩提寺へ相談を
- 家族葬で行う予定であることを事前に伝える
- 戒名をどうするか、法要は誰が行うかを確認
- 納骨時の立ち会いや供養のスタイルについても話し合っておく
家族葬だからといって宗教者の存在を軽んじてしまうと、後々大きな軋轢につながります。
9. トラブル回避のための家族葬準備チェックリスト
家族葬をスムーズに執り行うためには、事前準備が欠かせません。以下のような項目を確認しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
■チェックリスト例
- 誰に知らせるか、知らせないかを明確化
- 香典・供花・弔電の受け取り方針を決定
- 親戚・知人へ事前に家族葬であることを説明
- 菩提寺・宗教者に事前相談
- 葬儀費用の見積もりと負担の分担確認
- 弔問希望者への対応策(後日の面会・報告書など)
このような準備をしておくことで、家族葬でも「温かく後悔のないお見送り」が実現できます。
10. まとめ|小さな葬儀でも、気遣いと説明が大切
家族葬は形式にとらわれない自由な葬儀スタイルとして定着しつつありますが、その反面「今まで通りでない」ことによって、周囲との誤解やトラブルも生じやすくなっています。小規模だからこそ、呼ばれなかった人の気持ちや、費用・香典・儀礼の在り方を丁寧に説明する姿勢が大切です。
「自分たちだけがわかっていればよい」ではなく、「関係者みんなが納得できる」形を目指すことで、トラブルのない家族葬を実現できるでしょう。



