樹木葬のお墓参りはどうする?供養の方法やマナーを解説
自然の中で眠るスタイルとして近年人気を集めている「樹木葬」。
墓石を立てず、木や花を墓標とするこの形は、従来の供養方法とは少し違う印象を受けるかもしれません。そのため、「樹木葬にはお墓参りが必要なの?」「どうやってお参りするの?」と戸惑う方も多いようです。
この記事では、はじめて樹木葬のお墓参りをする方向けに、供養の方法やマナーをわかりやすく解説していきます。心を込めたお参りができるよう、ぜひ参考にしてください。
樹木葬と従来のお墓参りの違いとは
まず押さえておきたいのは、樹木葬と一般的な墓地でのお墓参りの違いです。従来のお墓は墓石があり、線香や花を供え、墓石に水をかけて清掃するのが定番の流れです。
一方、樹木葬では墓石がない場合が多く、墓標は樹木やプレートなどに限られます。そのため、お墓の掃除や水かけなどの慣習が不要で、より「自然に寄り添った」祈りのスタイルになります。
また、自然を守るために線香や火気の使用が禁止されている霊園もあります。供養の仕方が自由である一方で、「場所ごとのルールを尊重する」ことが大切なのです。
お墓参りの時期やタイミングは?季節ごとのポイント
樹木葬でも、基本的なお墓参りの時期は従来と変わりません。以下のような節目に訪れる方が多いです。
- ・お盆(7月または8月)
- ・春・秋のお彼岸
- ・命日や故人の誕生日
- ・年始・年末のご挨拶
ただし、自然豊かな場所にあることが多いため、季節や天候にも配慮が必要です。
夏場は虫対策、冬場は防寒対策や積雪による足元への注意を忘れずに。また、春や秋は花や紅葉が美しく、落ち着いてお参りできるベストシーズンです。
服装や持ち物はどうする?最低限のマナーを確認
樹木葬は屋外の自然環境に囲まれた場所にあることが多いため、服装や持ち物にも少し工夫が必要です。
<服装のポイント>
- ・カジュアルでもOK。ただし落ち着いた色味を選ぶ
- ・動きやすい靴(スニーカーやトレッキングシューズ推奨)
- ・虫よけ・帽子・防寒具などは季節に応じて
<持ち物の例>
- ・お花(生花のみ可の霊園が多い)
- ・手紙やお供え物(お菓子・果物など)
- ・故人との思い出の品
- ・ハンカチや手拭き
- ・ごみ袋(ゴミは持ち帰るのがマナー)
線香やろうそくの使用やお供え物禁止の霊園もあるため、事前にルールを確認しましょう。
樹木葬の現地でのお参り方法|手順と流れ
具体的なお参りの流れは以下のようになります。
- 到着したら静かに場所を確認:
看板やプレートの位置を探し、周囲の自然を尊重しましょう。
- お花や手紙を供える:
備え付けの献花台があればそこに、生花やメッセージを置きます。
- 手を合わせて祈る:
線香がない代わりに、自然に囲まれて静かに手を合わせることが、供養になります。
- 思い出を語る・故人を想う時間を持つ:
声に出して語りかけたり、好きだった歌を口ずさむのもいいでしょう。
- 持ち込んだものは片付けて帰る:
お菓子などは動物の被害や環境への影響があるため、基本的に持ち帰ります。
供えるものは何がいい?
樹木葬では「自然を守る」という観点から、供え物にも細やかな配慮が求められます。従来のお墓参りのように線香やお菓子を気軽に持参することができないケースも多く、霊園ごとのルールを守るということが、故人への敬意にもつながります。
おすすめの供え物
- 生花(落ち着いた色味のもの):
白や淡いピンクなど、自然に調和する色の花が好まれます。バラやユリ、カスミソウなどが人気です。花束にする場合はビニール包装を外して献花台に置くのがマナーです。
- 手紙やカード:
故人への想いを綴った手紙やポストカードをそっと置くことで、個人的で心のこもった供養になります。防水加工の袋に入れておくと、雨天時でも安心です。
- 故人の好きだった詩・写真・小物:
思い出の写真や、小さなぬいぐるみ、旅の記念品など、故人を象徴するものをそっと添える方も増えています。
- 折り紙や思い出の品:
折り鶴やハートなど、気持ちを込めて折った紙細工は、優しい供養の形です。お子さんと一緒に作って持って行くことで、家族みんなで思い出を語り合う時間にもなります。
注意が必要なもの
- 線香・ろうそく(火気厳禁):
多くの樹木葬霊園では、山林保全や火災防止の観点から、火の使用が厳禁となっています。香りのお供えをしたい場合は、香り付きのカードなどを代用する方法もあります。
- 飲食物(動物や虫の被害を招く):
果物やお菓子などを供えたい気持ちは自然ですが、自然環境に影響を及ぼすため、基本的には控えるべきです。どうしても供えたい場合は、写真に撮って一緒に持参するなどの工夫も良いでしょう。
- プラスチック製の造花(自然に還らない):
環境への負担が大きく、景観も損なうため、持ち込みが禁止されている霊園がほとんどです。代わりに紙や布素材のアートフラワーなど、自然に優しい選択肢を検討しましょう。
また、霊園によっては「献花台のみ利用可」「お供え物の持ち込み一切禁止」など、独自のルールを設けている場合があります。訪問前には必ず公式サイトや管理事務所に問い合わせて、最新のルールを確認するようにしましょう。
お墓の場所がわからない…プレートの有無と探し方のコツ
樹木葬では「墓石がない」ため、場所がわかりにくいという声もよく聞きます。
霊園によっては小さなプレートや石碑が目印になっていたり、区画ごとに番号がふられていることがありますが、木の成長や自然の変化で見えにくくなることもあります。
対策としておすすめなのは以下の通り
- ・契約時にもらった資料(区画番号や地図)を持参
- ・管理事務所に事前連絡・案内を依頼
- ・写真やメモを残しておくと次回以降も安心
迷った場合は無理に探し回らず、管理スタッフに確認しましょう。
家族やペットも一緒にお参りしていい?樹木葬の柔軟さ
樹木葬の魅力の一つが「自由度の高さ」です。家族全員でのお参りはもちろん、霊園によってはペット同伴も可能な場合があります。
ただし、ペット納骨可能な霊園と、あくまで参拝同行のみ可能な霊園とがありますので、こちらも事前確認が必要です。
また、小さなお子様連れで訪れる方も多く、自然に囲まれてのびのびと過ごせるのも魅力です。ただし騒ぎすぎたり、自然を荒らしてしまわないように配慮する気持ちも忘れずに。
お墓参りが難しい場合の供養方法
遠方に住んでいたり、仕事や家庭の事情、体調の都合で現地に足を運べない方も少なくありません。特に高齢のご家族がいる場合や、小さなお子さんがいる家庭では、定期的な墓参が難しいのは自然なことです。しかし、そうした場合でも樹木葬の供養は柔軟に対応できる点が特徴です。
利用できる供養のスタイル
- 霊園の代理参拝サービス:
管理事務所などが代わりに墓地を訪れ、花を手向けたり、清掃を行った上で、報告書や写真を送ってくれるサービスです。遠方に住む方や、法事の節目に合わせて依頼するケースが増えています。
- オンライン供養:
住職や僧侶とビデオ通話を通じて自宅で法要や読経を受けられるサービスです。ZoomやLINEなどを活用して、パソコンやスマホから参加できます。自宅にいながらも仏前に心を向けることができる、現代ならではの供養スタイルです。
- 手元供養:
遺骨の一部を自宅に保管し、小さな骨壺やアクセサリーに納めて日常的に手を合わせる方法です。仏壇の代わりにミニ供養スペースを設けたり、インテリアになじむデザインの手元供養アイテムも増えており、「身近に感じたい」という想いに応える供養法として注目されています。
いずれの方法も形式にとらわれず、「故人を思い続ける心」が何よりの供養であるという本質は変わりません。ご自身の生活環境や身体の状態に合わせて、無理なく、続けられるスタイルを選ぶことが大切です。周囲の理解やサポートも得ながら、自分らしい祈りのかたちを見つけてみてください。
まとめ:樹木葬でも“想う心”が何よりの供養に
樹木葬は自然と調和した、新しい時代の供養スタイルです。従来の墓参とは違っていても、故人を想い、心を込めて手を合わせることがなによりの供養になります。
形式にこだわらず、自然の中で「静かに寄り添う時間」を持つこと。それが、樹木葬ならではのお墓参りのかたちなのかもしれません。
迷いや不安があっても大丈夫。少しずつ、自分らしい祈りのかたちを見つけていきましょう。
葬儀のこと、お墓のこと、終活のことなど何でもお気軽にご相談ください。





