家族葬の費用は誰が負担する?支払いの仕組みと注意点を解説
1. はじめに|家族葬の費用負担が問題になりやすい理由とは?
近年、家族や親しい人だけで見送る「家族葬」が一般的になりつつあります。シンプルで静かな雰囲気が好まれる一方で、費用の負担者が明確になっておらず、葬儀後にトラブルに発展するケースも増えています。
「誰がいくら払うのか」「葬儀費用は遺産から出していいのか」「立て替えたお金は戻ってくるのか」など、悩みやすいポイントを本記事で整理し、支払いの仕組みと注意点について詳しく解説します。
2. 家族葬の平均費用相場と内訳を知ろう
まず、家族葬にかかる費用の目安を知っておきましょう。一般社団法人日本消費者協会の調査(2023年)によると、家族葬の平均費用は約100万円〜150万円程度です。
費用の主な内訳は以下の通りです。
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項目 |
金額の目安 |
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葬儀基本プラン(祭壇・人件費など) |
40万円〜80万円 |
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火葬料金 |
1万円〜7万円(地域差あり) |
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会場使用料・控室料 |
5万円〜15万円 |
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返礼品・料理(通夜ぶるまいなど) |
10万円〜30万円 |
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その他(搬送・ドライアイスなど) |
10万円前後 |
家族葬は規模が小さい分、一般葬よりも安価になる傾向がありますが、必ずしも低予算で済むとは限りません。特に返礼品や料理のグレード、地域の火葬料によって大きく変動します。
3. 家族葬の費用は誰が負担するのが一般的?
葬儀費用を誰が出すかについて、法的な決まりはありません。実際の現場では以下のようなケースが多く見られます。
- 喪主(多くは長男・配偶者など)が一括で支払う
- 故人の預貯金や保険金から支払う(相続財産扱い)
- 兄弟姉妹や親族で按分して負担する
- 家族が立て替え、相続後に精算する
中でも「喪主が一時的に全額立て替える」ケースが一般的です。ただし、そのまま費用が喪主の負担になると、不公平感から親族間でトラブルになることもあるため、あらかじめ分担や清算方法を話し合っておくことが大切です。
4.【ケース別】家族葬の費用負担の分担パターン3選
費用分担の方法は家庭ごとに異なりますが、以下のようなパターンが代表的です。
パターン1:喪主が全額負担する
もっともスムーズな形式。ただし、金銭的負担が大きく、後でトラブルになる場合もあります。
パターン2:兄弟姉妹で均等に割る
公平性はあるものの、関係性が希薄な兄弟が反発することも。事前の合意が不可欠です。
パターン3:遺産から葬儀費用を精算
故人の資産でまかなう方法。相続人全員の合意と、口座凍結への対応が必要です。
5. 故人の預貯金(遺産)で家族葬費用を支払える?
「故人の口座から費用を支払えばよい」と考えがちですが、実は注意が必要です。
死亡届を出すと故人名義の銀行口座は凍結され、原則として出金できなくなります。つまり、葬儀費用をすぐにそこから支払うことは難しいのです。
ただし、以下のような例外や手段があります。
- 口座が凍結される前に、ある程度の費用を引き出しておく
- 銀行によっては「葬儀費用支払い」に限って出金を認める場合がある
- 遺産分割協議を経て、相続人全員の合意で払い戻し手続きを行う
いずれにしても時間と手続きが必要なため、家族で事前に誰が立て替えるかを話し合っておくのが現実的です。
6. 葬儀費用の立て替えと精算の流れ
家族葬の費用は、喪主や家族の誰かが一時的に立て替え、後日、以下のような流れで精算されることが多いです。
- 葬儀社からの請求書に基づき費用を支払う
- 他の相続人と共有し、費用明細を説明
- 遺産の中から葬儀費用を「相続財産から控除」する形で精算
- 残った遺産を相続人で分割
ポイントは、領収書や明細をきちんと保存しておくこと。トラブル防止に役立ちます。
7. 家族葬の費用に関するトラブル事例と対策
家族葬は参列者が少ない分、親族内の関係が密になりやすく、費用負担にまつわるトラブルも起きやすくなります。以下はよくある事例です。
- 兄弟の一人が費用を全額立て替えたが、他の兄弟が支払いを拒否
- 香典を誰が管理し、どう使うかで対立
- 遺産分割の前に支払った費用が精算されず、後で揉める
このような問題を防ぐには、「事前に費用分担や香典の扱いを話し合っておく」「文書で合意しておく」「家計簿のように明細を管理する」といった透明性のある対応が大切です。
8. 香典は使っていい?家族葬における香典と費用の関係
家族葬では香典を辞退するケースも多くなっていますが、受け取る場合はその使い道も要検討です。
香典を受け取った場合
- 葬儀費用の一部に充てる
- 香典返し(返礼品)に使う
- 喪主が受け取って精算に利用する
香典を辞退した場合
- 費用は家族のみで全額負担となる
- 返礼品やお礼の手間は減る
香典の扱いを巡って親族間の感情的な衝突が起きやすいため、香典を受け取るかどうか、誰が管理するかを事前に決めておきましょう。
9. 家族葬費用に使える補助金・保険・給付制度
経済的な負担を少しでも軽減したい場合は、公的な給付金や民間保険制度を賢く活用することが大切です。以下のような制度を利用できる可能性があります。
葬祭費(国民健康保険)
故人が国民健康保険に加入していた場合、葬祭を行った方に対して市区町村から「葬祭費」が支給されます。支給額は自治体によって異なり、5,000円〜70,000円程度です。申請には以下の書類が必要になります。
- 故人の保険証
- 喪主の本人確認書類
- 葬儀費用の領収書または会葬礼状
- 振込口座情報など
申請は原則として葬儀を行った日から2年以内に行う必要があり、期限を過ぎると受け取れなくなる点に注意しましょう。
埋葬料(健康保険)
会社員や公務員など、社会保険に加入していた故人の遺族には「埋葬料」または「埋葬費」が支給されます。金額は一律50,000円。喪主が埋葬料の受取人となる場合が多いですが、実際に埋葬費用を負担した方であれば申請可能です。
加入していた健康保険(協会けんぽ、健保組合など)ごとに手続きが異なるため、勤務先または保険組合へ早めに確認することをおすすめします。
死亡保険金(生命保険)
民間の生命保険に加入していた場合、契約に基づいて支払われる死亡保険金を家族葬の費用に充てることができます。多くの場合、保険金の請求には以下のような書類が必要です。
- 死亡診断書または死亡届の写し
- 保険証券
- 受取人の本人確認書類
- 所定の請求書類一式
なお、保険金の請求も、受取人が請求しない限り支払われないため、忘れずに手続きを行いましょう。また、支払いまでの期間は1〜2週間ほどかかることが一般的です。
これらの制度や保険は、遺族の経済的負担を軽減する大切な支援策です。制度の存在を知らずに申請しそびれてしまう方も少なくないため、市区町村や勤務先、保険会社に早めに相談することが重要です。
10. まとめ|家族葬の費用負担は「事前の確認と共有」がカギ
家族葬はシンプルで温かい葬儀形式ですが、費用の分担が曖昧だと、家族間でのトラブルを引き起こす原因になります。
本記事の要点を振り返ります。
- 家族葬の費用は平均100〜150万円前後
- 誰が支払うか、法的決まりはない
- 故人の口座からの支払いには制限がある
- 葬儀費用は立て替えて、後に相続で精算されることが多い
- トラブル防止には、事前の話し合いと明確な記録が重要
「家族葬だからこそ、揉めたくない」
その思いを叶えるためにも、費用の分担や支払いの流れを、事前にきちんと共有しておくことが大切です。



