来苑予約 来苑予約
電話 電話
お急ぎの方はお電話で

環境に優しい選択・里山葬の仕組みと遺骨が土に還るプロセスとは

はじめに:里山葬とは?

近年、自然に還る葬送の方法として「自然葬」が注目を集めています。その中でも「里山葬」は、日本の豊かな里山を活用した埋葬方法として人気を集めています。従来の墓石を立てる形式ではなく、山や森林などの自然の中で埋葬し、やがて遺骨が土に還るという考え方に基づいたものです。

環境負荷を減らし、自然と共生しながら故人を偲ぶことができるこの方法は、都市部における墓地不足の問題や、墓じまいを考える人々にとっても有力な選択肢となっています。しかし、多くの人が気になるのは「里山葬では骨はどうなるのか?」という点です。火葬後の遺骨を埋葬した後、どのような変化が起こるのか、そのプロセスについて詳しく解説していきます。

 

里山葬の埋葬方法

里山葬では、火葬後の遺骨を自然の中に埋葬するのが一般的です。しかし、その方法にはいくつかの種類があり、以下のような埋葬スタイルが存在します。

①土に直接埋葬する方法

この方法では、遺骨を骨壺から取り出し、直接土に埋めます。基本的に、土に触れることで遺骨が徐々に分解され、最終的には土壌に還ると考えられています。

②骨壺ごと埋める方法

一部の里山葬では、専用の骨壺(生分解性のもの)に入れたまま埋葬するケースもあります。この場合、骨壺自体も時間とともに分解され、遺骨とともに自然へと還ります。

 ③樹木葬の形をとる方法

木の根元や樹林内に埋葬する「樹木葬」スタイルの里山葬も増えています。この場合、埋めた場所に苗木を植え、遺骨が分解されることで、その土地の栄養となり、木が育つ仕組みになっています。

 

骨はどのように分解されるのか?

「火葬した後の遺骨はすぐに土に還るのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。実際には、遺骨が完全に分解されるまでには相応の時間がかかります。火葬後の遺骨は、高温処理されているため有機物はほぼ含まれておらず、主にリン酸カルシウムという無機質の成分が残っています。このため、すぐに土に溶けるわけではありませんが、時間とともに徐々に変化していきます。

① 微生物や土壌環境の影響

土の中にはさまざまな微生物が存在し、時間の経過とともに遺骨に作用します。湿度や土壌の成分によっては、骨の成分が徐々に溶解し、土に吸収されることがあります。

② 雨水や地下水の影響

雨が多い地域では、地下水や雨水により骨の成分が流されやすくなります。特に酸性土壌では分解が早まり、逆にアルカリ性の土壌では分解が遅くなる傾向があります。

③ 骨の種類による分解速度の違い

人間の骨の中でも、密度の高い大腿骨や頭蓋骨は、比較的分解が遅いとされています。一方で、あばら骨や指の骨などは、比較的早く分解されることが多いです。

 

骨は最終的にどうなるのか?

遺骨が自然に分解されるまでには、数十年から百年以上かかる場合もあります。しかし、最終的には風化し、周囲の土壌に溶け込んでいきます。

① 何年くらいで土に還るのか?

火葬後の遺骨は、通常の環境では50~100年程度で土と一体化するといわれています。ただし、湿度が高く、微生物が豊富な環境ではより早く分解される可能性があります。

② 遺骨が土壌の一部として循環する仕組み

遺骨が完全に分解されると、リンやカルシウムといった成分が土に吸収され、植物の栄養として利用されることがあります。里山葬が環境に優しいとされる理由の一つは、まさにこの循環プロセスにあります。

 

動物に掘り返される心配はある?

① 里山葬の埋葬深度と動物対策

里山葬における遺骨の埋葬深度は、多くの場合50cm~1m程度です。この深さは、一般的な野生動物が簡単に掘り返すことができない範囲とされています。特に日本の野生動物の中で地中を掘る習性があるのはイノシシやアナグマなどですが、それらの動物が掘り返すリスクは、適切な管理が行われている里山葬のエリアではほとんどありません。

② 安全な埋葬を行うための工夫

埋葬後の遺骨が動物に掘り返されないようにするため、いくつかの対策が取られています。

・深さの確保:最低でも50cm以上の深さに埋葬し、動物が掘るのを防ぎます。
・埋葬エリアの管理:定期的に施設管理者が巡回し、動物の侵入の有無を確認します。
・土壌の状態を考慮:硬い土壌の場所を選ぶことで、動物が掘りにくい環境を作ります。

 

骨壺や墓石は必要?

① 里山葬における遺骨の扱いと管理方法

里山葬では、遺骨をそのまま土に埋める方法が主流ですが、環境に優しい生分解性の骨壺を使用するケースもあります。従来の墓地と異なり、墓石や特定の記念碑を立てることは少なく、自然の一部として埋葬されるのが特徴です。

② 一般的な墓との違い

・墓石を設置しない
里山葬では、墓石を立てることがほぼなく、樹木や目印となる自然の要素が代わりになります。

・骨壺の種類
従来の陶器製や金属製の骨壺ではなく、土に還る素材(紙や木、土で作られたもの)を用いることが推奨されることが多いです。

 

法律や規制について

① 里山葬を行う際に必要な手続きや許可

日本では「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」に基づき、許可なく埋葬を行うことはできません。里山葬を希望する場合は、地方自治体の許可を受けた自然葬の施設を利用する必要があります。

② 日本の法律上の制約と注意点

勝手に埋葬することは法律違反
個人の所有地であっても、遺骨を勝手に埋めることは法的に認められていません。

地方自治体ごとの規制の違い
都道府県や市区町村ごとに埋葬の許可条件が異なるため、事前に確認することが大切です。

 

里山葬を選ぶ人の想い

① 里山葬を希望する理由と価値観

里山葬を選ぶ理由には、以下のような価値観が関係しています。

自然と共生したい
土に還ることで、環境の一部になりたいと考える人が増えています。

従来の墓地維持の負担を軽減したい

お墓の管理が大変なため、管理不要な里山葬を選ぶ人が多いです。

② 自然と共に眠ることの意味

自然の中に埋葬されることで、遺骨が分解され土の養分となり、次世代へと循環していきます。これは「自然の一部となる」という哲学に基づいた考え方であり、人生の終焉をよりポジティブに捉えるきっかけとなることもあります。

 

里山葬を選ぶ際の注意点

① 里山葬のメリット・デメリット

メリット

  • ・環境に優しく、自然に還ることができる。
  • ・墓じまいの必要がなく、維持費もかからない。
  • ・墓地不足の問題を解決し、未来世代の負担を減らす。

デメリット

  • ・埋葬場所の特定が難しいため、定期的な訪問がしにくい。
  • ・法的な規制があるため、事前の確認が必要。
  • ・伝統的な墓石を好む親族との合意が必要になることもある。

② 家族との話し合いの重要性

里山葬は新しい葬送方法のため、家族の理解を得ることが重要です。家族の意向を無視して決めると、後にトラブルになる可能性もあります。そのため、事前にしっかりと話し合いを行い、合意のもとで進めることが望ましいでしょう。

 

まとめ:里山葬の未来

今後、少子高齢化や墓地不足の問題が深刻化する中で、里山葬は新たな選択肢としてますます注目されるでしょう。特に以下の点が、里山葬の未来を支える要素となります。

・環境保護との連携
自然保護や森林再生プロジェクトと結びつくことで、より持続可能な形へ進化する可能性がある。

・法律の整備と普及
現在は一部の地域に限られている里山葬が、全国的に広がる可能性がある。

・多様な埋葬文化の形成
従来の墓石文化に加え、より自由な選択肢として受け入れられるようになる。

 

里山葬は、単なる埋葬方法ではなく、自然との共生を考えるライフスタイルの一環として今後ますます広がっていくことでしょう。

 

葬儀のこと、お墓のこと、終活のことなど何でもお気軽にご相談ください。

どんな記事をお探しですか?

ご自宅訪問サービス実施中