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樹木葬で骨は本当に自然に還るのか?埋葬後の変化と注意点とは

樹木葬の基本的な考え方

樹木葬とは、樹木や花々などの植物を墓標とし、遺骨を自然の土に還す供養の方法です。1990年代後半に岩手県のお寺が始めたとされ、そこから全国的に広がっていきました。従来の日本におけるお墓といえば、墓石を建てて遺骨を骨壷に納め、納骨堂や墓地の下に埋蔵する形が一般的でした。しかし、樹木葬では墓石を設置せず、シンボルツリーや花壇に代えることにより、「自然との共生」や「環境に配慮した埋葬」という新たな価値観を打ち出しています。

こうした自然回帰のコンセプトから、「亡くなった後は土に還りたい」「緑豊かな場所で眠りたい」「子どもにお墓の負担をかけたくない」などの理由で人気が高まっています。一方で、「本当に自然に還るためにはどうすればよいのか」「遺骨はどこまで残るのか、取り出しが必要な場合どうするのか」など、まだまだ分かりにくい点があるのも事実です。

 

樹木葬での遺骨の扱われ方

樹木葬を検討するうえで最も気になる点は、やはり「遺骨がどのように扱われるのか」です。一般的には火葬後の遺骨は骨壷に納められ、法要やお通夜・告別式後にお墓へ運ばれます。伝統的なお墓では、その骨壷を墓石の下のカロート(納骨室)に安置する形となります。

一方、樹木葬においては、遺骨を自然の土の中へ直接埋葬する、または遺骨を細かく粉骨(パウダー化)して専用の入れ物に入れたうえで埋葬することが多いです。管理する霊園や寺院によっては、遺骨を粉砕せずに小さな骨壷のまま埋葬するケースもあります。いずれにしても土と遺骨が直接ふれ合い、いずれは骨が土へと還る仕組みを採用しているのが大半です。

 

「骨はどうなるの?」—土に還るまでのプロセス

樹木葬の最大の特徴は「自然に還る」という点です。遺骨を埋葬した後、その骨は微生物の働きなどによって徐々に分解が進み、長い年月をかけて土壌と一体化していきます。日本の火葬後の骨は、炭酸カルシウムを多く含む白い状態になっていますが、これも土壌や水分、菌類などの自然環境下に置かれることで少しずつ変化していき、最終的には土に溶け込んでいくのです。

ただし、これはあくまで自然分解を想定している場合の話です。地域や土の性質、管理方法、植生などによって、骨が分解される速度は変わってきます。硬い焼骨は分解されにくいともいわれますが、近年は粉骨(細かいパウダー状にする)して埋葬することで、よりスムーズに土へ戻るよう配慮する樹木葬も増えています。

 

樹木葬の種類と埋葬スタイル

一口に樹木葬といっても、そのスタイルは多岐にわたります。たとえば以下のような形態があります。

  1. シンボルツリー型
    一つの大きな木をシンボルとして、その周囲に複数の遺骨を埋葬するタイプです。共同墓のように、合同で自然に還ることを重視しています。

  2. プレート型(ガーデン型)
    花壇や芝生のような区画に遺骨を埋め、地表には小さなプレートや石札を置く場合があります。ごくシンプルなデザインでありながら、どこに眠っているか分かりやすい利点があります。

  3. 個別区画型(樹木個別型)
    各家族や個人ごとに一本の樹木を植え、その根元に遺骨を埋葬するタイプです。個別のお墓のような感覚を保ちつつ、自然との融合も図れます。

それぞれのスタイルによって、遺骨の埋葬深度や土壌との接触具合、粉骨の有無、骨壷の使用など細かい点が異なります。契約前にどのような樹木葬が自分や家族の意向に合っているか、運営側に確認しておくことが大切です。

 

骨壷は必要?粉骨にするメリット・デメリット

樹木葬では、骨壷を使うかどうかは運営主体の方針や故人・遺族の希望によって異なります。多くの樹木葬プランでは、埋葬前に遺骨を粉骨し、パウダー状にしたうえで自然に還りやすい素材の容器に入れたり、直接土にまぜたりする方法が採用されます。粉骨には以下のようなメリットとデメリットがあります。

  • メリット
    • 骨が土壌と接触しやすくなり、自然分解の進行がスムーズになる
    • 埋葬スペースが小さくて済むため、区画の経済性が高い
    • 遺骨を持ち帰る必要がある場合、持ち運びが容易

  • デメリット
    • 後から遺骨を取り出したい場合、個々の骨片が判別できなくなる
    • 遺族によっては、「骨の原型が残らないこと」に抵抗を感じる場合がある

粉骨をせずに小さな骨壷で埋葬する場合でも、骨が土に触れないわけではありません。骨壷にも通気性や水分を通す素材が使われることが多いので、長期的にみれば自然に還る可能性はあります。ただし、素材や埋葬環境によっては骨の分解に時間がかかる場合もあり、この点は事前に確認しておくと安心です。

 

他の遺族とのトラブルを避けるために

樹木葬を選択する際は、「故人が本当に望んでいたのか」「親族や家族が納得しているか」をしっかり話し合うことが重要です。特に日本では、先祖代々のお墓に入ることを当然と考える風潮もまだ強いため、本人は樹木葬を望んでいても、残された家族が理解を示さずにトラブルになるケースがあります。また、祖父母や父母が樹木葬を希望していても、後になって「やはり家系墓に合祀したい」という意見が出る場合もあるでしょう。

こうしたトラブルを避けるためにも、生前のうちからエンディングノートや家族会議でしっかり意向を伝え、合意を得ておくのが理想です。遺骨を自然に還すというコンセプト自体は美しく、環境にもやさしい方法ですが、心情的な抵抗を覚える人がいるのも事実です。家族や親族の合意を得たうえで埋葬の準備を進めることで、後から遺骨の取り扱いで揉めることが少なくなるでしょう。

 

樹木葬で骨を取り出すことは可能?

樹木葬では、「自然に還る」ことを大前提としていますが、「別の土地へ改葬するかもしれない」「永代供養ではなく一定期間の利用だけにしたい」という事情が生じる場合も考えられます。そうした場合、埋葬した骨を取り出すことはできるのでしょうか。

結論からいえば、取り出せるケースもあれば難しいケースもあります。粉骨した遺骨を埋葬すると、土と混ざり合っているため物理的に分離が困難な場合が多いです。骨壷のまま埋葬した場合であれば、後から取り出せることもありますが、その際は霊園や寺院の管理者との協議や、改葬手続きが必要となります。改葬許可証の申請など、通常の墓地の移転と同様のステップを踏むのが基本なので、「最初から改葬の可能性があるかもしれない」という場合は、契約前に管理者へ相談しておくのが望ましいです。

 

供養やお参りはどうするのか

樹木葬であっても、ご遺族がお参りをすること自体は従来のお墓と変わりありません。樹木葬の区画がある霊園や寺院を訪れ、シンボルツリーやプレートの前で手を合わせたり、花を手向けたりします。ただし、多くの場合は一般的な墓石ほど場所が明確に区切られていないため、施設のルールや他の利用者への配慮が求められます。

また、樹木葬を運営している寺院や霊園では、定期的な合同法要や追悼式を行っている場合もあります。伝統的な仏式の読経だけでなく、宗派を問わずに自由参加の式を開催するところもあり、それぞれの形で故人を偲ぶことができるのです。逆にいえば、仏壇や位牌などの扱いも含めて、自由度は高い半面、遺族自身が供養のスタイルをある程度決めていかなければならない部分もあります。

 

まとめ:樹木葬で遺骨はどうなるのか

樹木葬では、火葬後の遺骨を土中に直接、または粉骨した状態で埋葬し、最終的には土へと還すことをコンセプトとしています。墓石を用いないため初期費用や維持費が抑えられ、自然に還りたいという願いや環境意識の高さ、後継者不在の問題など、現代社会が抱える様々な要望に応える埋葬方法です。一方で、遺骨の分解速度が土壌環境に左右されたり、後から遺骨を取り出すのが難しいケースもあるなど、伝統的なお墓にはない注意点も存在します。

特に「骨はどうなるのか?」という疑問に対しては、「時間をかけて土に溶け込む」というのが樹木葬の基本的な答えです。粉骨して埋めることで分解を促進するケースが多いですが、運営主体の方針や骨壺の素材、埋葬方法によっては長く形が残る可能性もゼロではありません。故人や遺族の意向を尊重しながら、管理者と十分に相談することが大切です。

遺された方々の安心や想いを形にするには、どういった方法がベストなのか。樹木葬はまだ歴史が浅い埋葬スタイルだからこそ、多様な選択肢と自由度があります。最終的には、家族や親族の思いをしっかりと話し合い、故人の望むかたちで送り出すことが何よりも大切です。

葬儀のこと、お墓のこと、終活のことなど何でもお気軽にご相談ください。

 

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