樹木葬プレートに刻む言葉・デザインの選び方|後悔しないポイント
樹木葬とプレートの関係とは?
自然とともに眠るという新しいお墓の形「樹木葬」。近年では、後継者のいない方や自然志向の方を中心に、多くの人に選ばれるようになってきました。墓石の代わりにシンボルツリーの下に埋葬され、自然に還るスタイルは、従来の供養観にとらわれない自由さが魅力です。
そんな樹木葬において、忘れてはならないのが「プレート」の存在です。墓石がない分、プレートが唯一の“印”となり、故人の名前や命日、そして残された言葉を刻む大切な場所になります。プレートに刻む言葉やデザインは、その人の生き方や思い出を象徴するもの。だからこそ、選ぶときには細やかな配慮が必要です。
この記事では、後悔しないプレート選びのために、実用的な視点から言葉やデザインの選び方を詳しく解説します。
プレートに刻む言葉とは?定番と最近の傾向(年代別の変化も紹介)
樹木葬のプレートに刻まれる言葉には一定の定番があります。例えば、以下のような情報は多くのプレートで共通しています。
- ・戒名(宗教的な名前)
- ・俗名(本名)
- ・没年月日・生年月日
- ・続柄(例:〇〇家之墓)
しかし近年では、「形式にとらわれない表現」を望む方が増えており、故人の個性や家族の想いが反映された言葉が選ばれる傾向にあります。
平成初期〜中期(1990年代〜2000年代)
この頃は、まだ樹木葬自体が一般的ではなく、伝統的なお墓の延長として捉えられる傾向が強くありました。そのため、プレートの表記も「〇〇家」「戒名」「命日」といった従来の様式に近いスタイルが主流でした。デザイン面も控えめで、黒やグレーの石材に白字で文字を刻む、というシンプルなものが多く見られました。
平成後期〜令和(2010年代後半〜現在)
樹木葬の選択肢が増え、無宗教や自然志向の方が積極的に選ぶようになると、プレートにも大きな変化が現れます。特に令和に入ってからは、以下のような自由な表現が広まりました。
- ・「ありがとう」「また会おうね」などのメッセージ
- ・故人の座右の銘や、生前の趣味にちなんだ言葉
- ・英語やフランス語など外国語での表記(例:Love you always)
デザインも個性を重視する流れがあり、桜・鳥・星・山などの自然モチーフを取り入れたり、故人が好んだ動物や花をあしらうケースも増えています。
最近の傾向まとめ
現代では、「文字で故人の人柄を伝える」ことがプレートの役割になりつつあります。単なる名前や日付だけでなく、見る人の心に温かさや懐かしさを呼び起こすような一言を添える人が増えており、それによってお墓参りがより心の通った時間になるという声も多く聞かれます。
後悔しないための「言葉選び」のコツ
言葉選びで大切なのは、「短くても伝わること」と「読みやすさ」です。プレートのサイズは限られており、文字数には制限があります。長文を詰め込むと、かえって読みにくくなり、気持ちが伝わりにくくなってしまうことも。
文字数とフォントの可読性に配慮
小さなスペースでも美しく読めるフォントを選ぶことが重要です。一般的に、丸ゴシック体や明朝体など、柔らかく読みやすい書体が推奨される傾向があります。
家族や故人の思いを込めて
「故人が好きだった言葉」「座右の銘」「家族の共通の思い出」に基づいて言葉を選ぶと、あとから見返したときに温かい気持ちになれるものです。事前にノートに書き出してみたり、家族で話し合うことでアイデアが生まれやすくなります。
デザインの選択肢|シンプル・自然派・個性派
樹木葬のプレートは、形や素材、デザインに多様な選択肢があります。
プレートの素材と形
- ・石材(御影石など):耐久性が高く、長年にわたって風雨に耐える
- ・陶器プレート:温かみがあり柔らかな印象
- ・木製プレート:自然に還る素材として人気(ただし耐久性に限界あり)
形は長方形・楕円形・丸形など多様。霊園によってはオリジナル形状を許可しているところもあります。
イラストや模様の活用
最近では、小さな桜の模様、鳥や蝶のイラスト、または山や海など故人が愛した風景をあしらったプレートも見られます。シンプルに名前と日付だけを刻む方もいれば、絵や色を使って華やかさを添える方も。
「自然の中で静かに眠る」空間に調和するデザインを心がけましょう。
実際のプレート例から学ぶ「成功例と注意点」
後悔のない成功例
- ・「風になって見守っています」という言葉を刻んだプレートは、自然と調和し、訪れるたびに心が穏やかになると評判
- ・故人の筆跡をそのまま刻印したプレートは、家族の宝物になっているケースも
よくある後悔・失敗
- ・文字が小さすぎて読めない
- ・表現が抽象的すぎて誰のプレートかわからない
- ・デザインにこだわりすぎて、霊園の規定に合わず修正費用がかかった
感情だけで突き進まず、冷静に見やすさ・伝わりやすさを意識することがポイントです。
プレートを選ぶときに気をつけたい宗教的配慮
樹木葬は宗教不問であることが多いとはいえ、故人や親族の宗派によっては、「戒名の記載が必須」または「宗教的表現は避けたい」といった考え方があるかもしれません。
宗派による違いを理解
浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」を用いるなど、宗派によって違いがあります。生前に本人の意向を確認しておくと、後々のトラブルを防げます。
宗教色を薄めたい場合の工夫
無宗教で自然志向の樹木葬を選んだ方には、宗教的な表記を避けるケースも増えています。「〇〇家」とせず、個人名だけにする。「〇〇信士」などの表記を省き、俗名と命日だけをシンプルに記すことも可能です。
家族と一緒に考える|想いを共有するプロセス
プレートは一人で決めるのではなく、家族と一緒に考えることで、より納得のいくものになります。とくに生前に話し合っておくことで、残された人々の負担も軽減されます。
- ・故人の好きだった言葉やもの
- ・最期に伝えたかった気持ち
- ・家族の記憶に残っているエピソード
これらを共有しながら決めていくことで、プレートは単なる「表示」ではなく、「心のつながりの証」になります。
樹木葬を行う霊園・墓地の規定も要チェック
意外と見落としがちなのが、霊園や寺院ごとに定められているプレートに関する規定です。プレートの制作に取りかかる前に、必ず事前確認をしておくべき項目です。確認すべきポイントは多岐にわたります。
- ・文字数やフォントの種類:
限られた文字数内での表記が求められる場合があり、使用できるフォントも指定されていることがあります。
- ・プレートのサイズ・素材:
決まった寸法内でないと設置不可な場合や、御影石など特定の素材に限定されている場合があります。
- ・イラストや色の使用可否:
色付きプレートや絵柄入りデザインを不可としている霊園もあるため、自由に選びたい方は注意が必要です。
- ・設置場所の制限:
個別に設置できる場所が限られている霊園では、プレートの位置や向きにも規定がある場合があります。
これらの条件を知らずに制作を進めてしまうと、「せっかく考えたのに霊園のルールに合わず作り直しになった」といったトラブルになりかねません。特に、自由度が高いと思われがちな樹木葬でも、霊園の方針によっては意外と細かい制限があることも。完成後に後悔しないためにも、早い段階で霊園と綿密に打ち合わせをし、希望するプレートが問題なく設置できるかをしっかり確認しておきましょう。
業者との打ち合わせで確認すべきポイント
プレート制作は専門業者に依頼することが一般的です。仕上がりに納得するためにも、事前の打ち合わせはとても重要です。以下のような点をしっかり確認しておきましょう。
- ・サンプルの有無:
完成イメージを事前に確認できると安心です。紙面やモニターでのイメージ確認だけでなく、実物に近い素材での仮仕上げを提示してくれる業者もあります。
- ・デザインの自由度:
イラストや手書き文字の対応範囲、色の使用可否など、どの程度まで個別対応が可能かを把握しておきましょう。
- ・修正や再作成が可能か:
万一のミスや、家族内での意見変更があった際に、柔軟に対応してもらえるかどうかも大切な判断材料です。
「価格」だけでなく、「対応力」や「相談のしやすさ」、「アフターサポート体制」も含めて業者を選ぶことで、安心して任せることができます。
まとめ|プレートは“永遠のメッセージ”として大切に
樹木葬のプレートは、故人の存在を語り継ぎ、家族が心のよりどころとする大切なものです。一度設置すれば、基本的には長年そのまま残ります。
だからこそ、焦らず、丁寧に、言葉とデザインを選ぶことが大切です。形式にとらわれすぎず、でも読み手への配慮を忘れずに。故人への思いと家族の気持ちを込めたプレートは、いつまでも温かくそこに存在し続けるはずです。
葬儀のこと、お墓のこと、終活のことなど何でもお気軽にご相談ください。





