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宇宙葬とは?新しい供養のかたちで無限の宇宙へ眠る選択肢

宇宙葬とは?~無限の宇宙で永遠の眠りを、新しい供養のかたち

多様化する現在の弔い方法のなかでも、非常に新しいものとして「宇宙葬」が挙げられます。
ここではこの宇宙葬をテーマに、

  • ・宇宙葬の意味とその歴史
  • ・宇宙葬の種類
  • ・宇宙葬のメリット
  • ・宇宙葬のデメリット
  • ・宇宙葬と似た性質を持つ弔いの方法
について解説していきます。

<もっとも新しい弔いのかたち~宇宙葬の意味と歴史について>

宇宙葬とは、その名前の通り、宇宙(に類するところ)にご遺骨を持っていき、供養する方法です。詳しくは後述しますが、ロケットや人工衛星やバルーンにご遺骨を乗せてそれを打ち上げるやり方をいいます。
打ち上げられたロケットや人工衛星は、数か月~数年ほど地球の周りをめぐり、その後で地球に再突入、燃え尽きて終わり……という流れをとります。
また現在は、バルーンでご遺骨を成層圏まで持っていき供養をするという方法も、「宇宙葬」と呼ばれています。

樹木葬や海洋葬、納骨堂に一般的なお墓、それから手元供養……いろいろな弔いのかたちが提案されるようになってきた現在ですが、そのなかでも、「宇宙葬」はもっとも新しい弔いの方法として注目を浴びています。

宇宙葬が初めて行われたのは、今から25年ほど前の1997年のことだとされています。スペイン領カナリア諸島で、空中発射型ロケットにご遺骨が積まれて打ち上げられました。なおこの世界初の宇宙葬には、24人のご遺骨が乗っていたとされています。SF特撮作品である「スタートレック」を生み出したテレビ・映画プロデューサーであるアメリカのジーン・ロッデンベリー氏のご遺骨も、この世界初の宇宙葬のロケットに乗せられていました。なお、同シリーズの出演者であったジェームズ・ドゥーアン氏も、亡くなったときに宇宙葬によって弔われています。
ジーン・ロッデンベリー氏らのご遺骨を乗せたそのロケットは、5年後になってオーストラリアの北部に落下したとされています。

非常にダイナミックでロマンを感じさせる宇宙葬は、現在多くの人に注目を浴びています。雄大な宇宙を「最後の居場所」とできる宇宙葬は、やはり特別なもので、宇宙にロマンを抱く人たちにとって「理想の弔いの方法」のうちのひとつだといえるでしょう。

<宇宙葬の種類について>

上でも軽く述べましたが、宇宙葬には数多くの種類があります。

  • ・バルーンによるもの
  • ・ロケットを用いて宇宙にご遺灰を打ち上げるもの
  • ・人工衛星を用いて宇宙にご遺灰を打ち上げるもの
  • ・月を旅行するもの
  • ・宇宙を旅行するもの
それぞれ解説していきます。

【バルーンによるもの】
宇宙葬のなかでもっとも簡素なもので、費用も安く、希望しやすいタイプのプランがこの「バルーンによる宇宙葬」です。
ご遺灰やご遺骨をバルーンに乗せて空に飛ばすやり方をとります。このバルーンは成層圏に達したところで、空にご遺灰やご遺骨を撒くことになります。
成層圏は厳密には「宇宙」とはいえませんが、便宜上、このバルーンによる弔いも「宇宙葬」に分類されることが多いといえます。
このプランは、特に「バルーン葬」とも呼ばれます。

【ロケットを用いて宇宙にご遺灰を打ち上げるもの】
まずご遺灰をカプセルに収め、それをロケットに乗せます。その後ロケットを打ち上げ、宇宙に達します。
それほど長い期間を旅するわけではありませんが、費用は比較的高くなく、取り組みやすいプランであることが大きな特徴です。

【人工衛星を用いて宇宙にご遺灰を打ち上げるもの】
ご遺灰を入れたカプセルを人工衛星に乗せて、NASAが使っている施設などを利用して宇宙に向かってこの人工衛星を打ち上げる方法をいいます。宇宙空間に到達したのち、このご遺灰は長く漂うことになります。その長さは最長で240年ともいわれています。
宇宙を旅したい人に最適のプランといえます。

【月を旅行するもの】
「月面着陸」は、多くの人の心を沸き立たせ、宇宙分野の研究が進んでいることを強く印象付けたものでした。昭和の歴史を語るときに必ずといっても差し支えないほどに取り上げられることが多いエピソードであり、現在でも月に夢を見る人は多いものです。
この「月」に、ご遺骨やご遺灰を持っていくプランもあります。

【宇宙を旅行するもの】
限りなく広い宇宙をずっと旅することのできるプランもあります。
宇宙帆船にご遺灰を乗せて打ち上げるもので、期間の区切りがなく、ずっと宇宙空間を旅し続けます。
子どものころ、だれもが憧れた「宇宙の果てまで旅をする」という夢をかなえてくれるプランだといえます。

このように、一口に「宇宙葬」といってもその種類はさまざまです。宇宙葬を希望する場合は、「自分の希望する宇宙葬とはどのようなものか」「自分のイメージする宇宙葬に近いのはどのやり方か」を考えて決めるとよいでしょう。

<宇宙葬のメリット~遥かなる宇宙に抱かれて眠ることができる>

ここからは、宇宙葬のメリットについて解説していきます。

  1. 子どものころからの夢が叶えられる
  2. プランを選べば、実は意外と安価で済ませられる
  3. 手元にある程度のご遺骨を残すことができる
それぞれ解説していきます。

【1.子どものころからの夢が叶えられる】
宇宙葬を選ぶ人がメリットとして挙げるのは、やはり、「子どものころからの夢が叶えられる」という心理的な充足感だといえるでしょう。
「宇宙を旅したい」「宇宙の果てまで行きたい」という気持ちは、多くの人が一度は抱いたことのあるものです。
生きているときにこの夢を叶えることができる人はほんの一握りですが、「ご遺骨・ご遺灰」というかたちになれば、この夢を叶えることができます。

自分が憧れ続けた雄大な宇宙で眠ることができるということにロマンを感じるのならば、この宇宙葬がおすすめです。

【2.プランを選べば、実は意外と安価で済ませられる】
「バルーンを使う」「人工衛星やロケットを使う」ということから、宇宙葬は「非常に高額で、一般庶民は利用できないもの」と考える人もいることでしょう。
しかし実は、プランさえ選べば宇宙葬はかなり低価格で行うことができます。
業者によって多少異なりますが、バルーン葬の場合は20万円前後で実施することができますし、ロケットを用いて宇宙にご遺灰を打ち上げるプランも45万円~で行うことができます。人工衛星を使ったプランも、100万円を切る価格で提案されることもあります。

さすがに「月を旅行する」「ずっと宇宙を旅していく」などのプランは多額のお金がかかりますが、「ちょっと宇宙を見てみたい」という程度の希望ならば、十分に叶えられるでしょう。

なお参考までに記すと、一般的なお墓を手に入れるための平均額は160万円~200万円程度です。

【3.手元にある程度のご遺骨を残すことができる】
これは後で述べる「デメリット」とも両立する話ではありますが、宇宙葬の場合、すべてのご遺骨・ご遺灰を処理することは非常に困難であり、また現実的ではありません。
そのため、手元に分骨されたご遺骨などが残ることになります。
すべてを撒いてしまうわけではありませんから、残されたご遺骨などをお墓や樹木の下に入れることで、「手を合わせる対象」を作ることができるのです。

新しい弔い方法を選んだ場合はしばしばご親族などの反対を受けますが、このような「手元にご遺骨を残すことができ、それをお墓に入れて、わずかなご遺骨(やご遺灰)を故人の希望通りに宇宙に打ち上げる」という方式ならば比較的理解は得られやすいでしょう。

<宇宙葬の持つデメリット~実行することがかなり難しい>

宇宙葬にはメリットもありますが、デメリットも当然存在します。
宇宙葬は比較的新しい弔い方法であるため、このデメリットをしっかり把握したうえで、「それでも実行したいかどうか」を考えることが重要です。

  1. 引き受けている業者が少なく、打ち上げまでに時間がかかることが多い
  2. 不確定要素が多く、延期や中止になる可能性も高い
  3. 残されたご遺骨の供養方法を考える必要もある
それぞれ解説していきます。

【1.引き受けている業者が少なく、打ち上げまでに時間がかかることが多い】
宇宙葬は非常に新しい試みです。日本でもこの宇宙葬に積極的に取り組んでいる業者も出てきましたが、それでも、ほかの埋葬方法に比べてまだまだ選択肢が狭いのが現状です。

また宇宙葬は複数の人の希望者を募って行うことが前提となるため、「自分以外の希望者」が出てこない限りはずっと待たされてしまう……ということも珍しくありません。
自分たちのスケジュールだけで動くことができないのも、宇宙葬の大きなデメリットだといえるでしょう。

【2.不確定要素が多く、延期や中止になる可能性も高い】
「宇宙葬を扱っている」としている業者のホームページを見ても、「次回予定は未定」とされていることもあるほど、宇宙葬は不確定要素が多い弔い方法です。
打ち上げそのものが延期したり中止になったりすることもあり、これに上記で挙げた「ほかの希望者がいないと行えない」が絡むことで、さらに実行が遅れることになるケースも珍しくありません。
またせっかく申し込んだ場合でも、「もう収納スペースがないから」と断られることもあります。

そのため宇宙葬は、気長に待つことができる人限定の弔い方法だといえます。

【3.残されたご遺骨の供養方法を考える必要もある】
「すべてのご遺骨・ご遺灰を処理できるわけではなく、手元にご遺骨・ご遺灰が残ること」は、メリットでもありデメリットでもあります。

一般的なお墓にしろ樹木葬にしろ海洋葬にしろ納骨堂にしろ、「残された人が分骨を希望しない限りは、すべてのご遺骨・ご遺灰を収められる」という特徴があります。しかし宇宙葬ですべてのご遺骨・ご遺灰を処理することはとても現実的とはいえず、手元には多くのご遺骨・ご遺灰が残ることになります。このため、この「残されたご遺骨・ご遺灰をどう供養するか」という問題が残り続けます。

上記では「宇宙葬は、プランを選べば意外とお買い得」としましたが、「残されたご遺骨・ご遺灰」を供養するために新たな埋葬プランを組み立てる必要が出てくるのです。そのため、手元供養を選択しない限りは、「宇宙葬の金額+ほかの埋葬プランを選んだときの金額」を支払うことになります。
また手元供養を選んだとしても、手元供養をしている人が亡くなった場合などは、結局上記の問題が再燃することになります。

<宇宙葬と似た性質を持つ弔いの方法>

最後に、宇宙葬と似た性質を持つ弔いの方法についてみていきましょう。

【樹木葬】
木の下で眠ることになる埋葬方法です。「自然のなかに還る」という一点において、宇宙葬と似た性質を持っているといえるでしょう。
樹木葬の場合はシンボルツリーなどを持ち、そこに手を合わせていくことになります。

【海洋葬】
樹木葬が「木の下で眠る方法」であるのなら、こちらは「海のなかで眠る方法」だといえます。
海洋葬は、散骨(小さく砕いたご遺骨を海などで撒くこと)の形態をとります。事前に分骨をしていない限りは、二度とご遺骨を手元に戻すことはできません。宇宙葬も、宇宙に撒いた分のご遺骨は二度と手元に戻ってきませんから、この点でも共通しているといえます。ただし宇宙葬の場合、前述したように、大半のご遺骨は手元に残ることになります。

【ご遺骨アクセサリー】
ご遺骨アクセサリーとは、ご遺骨を入れたネックレスや指輪などを指します。またご遺骨から人工のダイヤモンドを作り、それをアクセサリーにする方法を意味することもあります。特によく知られているのは前者の「ご遺骨を入れたネックレスや指輪」の方ですから、ここでもそれを前提としてお話しします。
このやり方は、「すべてのご遺骨・ご遺灰を利用するわけではなく、その一部を利用する」という点で宇宙葬と共通しています。残されたご遺骨・ご遺灰の処理方法を改めて考えなければなりませんが、「一部分だけでもずっと一緒に」「一部分だけでも故人の夢を叶えてあげられる」という精神的な充足感を得られるというのも共通点といえるでしょう。

移り変わっていく弔いの形態のなかに、明確な正解・不正解はありません。
ただ、「自分らしい最期、あの人らしい最期」を迎えたいと願う人にとって、宇宙葬をはじめとするさまざまな選択肢が提示されることは大きな喜びとなることでしょう。

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