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遺影に最適な写真とは

これから先ずっと見ていくことになる「遺影」、それに最適な写真とは

「遺影」は、亡き人のことをしのぶためのものであり、非常に長く目にすることになるものでもあります。
ここでは

  • ・遺影の意味と歴史
  • ・現在の遺影事情
  • ・遺影を用意する方法
  • ・生前に遺影準備をすることの意味と、その方法
について取り上げ、解説していきます。

<遺影の意味と歴史について>

「遺影」という言葉を耳にしたことのない人はいないと思われます。ただ復習がてら、ここでも遺影の意味について再確認しておきましょう。

遺影とは、亡くなった人の写真や肖像画を示す言葉です。ただ現在は、「黒い額縁に入っている故人の生前の写真であり、白黒のリボンをつけてあるもので、通夜や葬儀・告別式のときに使うもの」と解釈されることが多いといえます。ここでも、特段の表記をしない限り、上記の解釈に基づいて「遺影」という言葉を使っていきます。

意外に思われるかもしれませんが、遺影の文化は日本独自のものです。
ちなみにこの遺影の原型となったものは、「死絵(しにえ)」と呼ばれるものでした。死絵は、有名人(特に役者など)が亡くなったときに、その旅立ちが安らかであるようにと願って作られた浮世絵(似顔絵)のことです。この死絵は、明治後期まで流行しました。

現在のように、写真タイプの遺影が使われ始めるようになったのは明治期以降のことだとされています。ただそのときの遺影は、現在のような「1枚だけを採用する」というかたちではなく、その人の肖像写真や葬儀までの工程を写し取った複数枚の写真で作られていました。そのため、今でいうアルバムのようなかたちだったとされています。

今のような「1枚だけで故人を表すタイプの遺影」が登場し始めたのは、明治時代末期から大正期にかけてのことだといわれています。この時分は、上記で挙げた「アルバム型の遺影」と、「1枚だけで故人を表すタイプの遺影」が混在していました。日しかし清・日露戦争を契機として、後者の解釈に基づく遺影が多数登場、一般化したとされています。

昭和の時代に入ると、遺影撮影がより広まっていきます。業界初となる葬儀カタログは大阪の公益社によって作られたとされていますが、そこで紹介されているプランのなかで、「遺影の撮影」が紹介されています。その後も遺影の技術は高まり続け、カラー写真や修整技術などが用いられるようになりました。

昔から故人をしのぶために使われてきた遺影は、多少の変化を経てはいるものの、令和の現在に至るまで広く長く受け継がれています。

<現在の遺影事情について~今は「その人らしい遺影」が選ばれるようになってきた>

遺影の歴史をたどると、遺影は時代によってその在り方が変わってきていることがよくわかります。
ここからは、「現在の遺影に注目をし、解説していきます。

【カラー写真か、それともモノクロ写真か?】
まず初めに取り上げたいのが、「遺影はカラーが良いか、それともモノクロが良いのか」という点です。

子どものころにおじいちゃんおばあちゃんの家に行ったとき、ご先祖様の白黒の遺影が飾られているのを見た……という人も多いのではないでしょうか。
昔はモノクロの遺影が基本で、1995年段階でも4割程度がモノクロだったとされています。
しかしここ25年ほどで、状況は大きく変わりました。2005年にはモノクロの遺影はわずか7パーセント程度となり、2015年には2パーセント程度にまで減りました。つまり現在では「カラーで作る遺影」が一般化しており、モノクロの遺影は極めてまれなのです。

デジタルカメラの普及により手軽に写真を撮ることができるようになったこと、カラー写真が当たり前になったことからこのような変化が起きたのだと考えられます。今後もこの傾向は続いていくと思われます。

ただ現在は加工技術が発達しているため、「カラーの写真をモノクロにする」などのやり方をとることもできます。「遺影はやはりモノクロで」などのような希望がある場合は、それを伝えるとよいでしょう。

【「いつもの服装」が選ばれるようになってきた】
昔の遺影は、着物を着た状態のものがよく選ばれていました。また、黒い服を着たものも多く選ばれていましたが、現在ではこのような考え方は下火となってきています。
もちろん着物やドレスを着た写真でも遺影として使えますが、「普段着のままの写真」が遺影としてよく採用されるようになってきたのです。これは、「在りし日の故人の姿をそのまま遺影としたい」と考える人が増えた影響かもしれません。また、そもそも和服が「特別な日に着るもの」になりつつあるのもひとつの原因ではないかと推察されます。

「洋服の写真しかないが、ほかのご先祖さまとの統一感を出すために着物に変更したい」という場合は、その旨業者に伝えてください。業者の方で「着せ変え」を行うこともできます。

【まじめな顔から笑顔の写真へ、表情の変化】
上記で「いつもの服装」が選ばれるようになったとお話ししました。これと連動するかのように、表情も「いつもの表情」が重んじられるようになりました。

昔はまじめで無表情の顔がよく遺影として採用されましたが、現在では笑顔の写真やリラックスした写真などが積極的に選ばれるようになっています。その人らしい温かさを感じさせるような表情の写真を遺影にと考える人が増えています。

【いつくらいの年のものを使うのか】
遺影に使われる写真は、「直近から5年ほど前までのもの」が一般的です。少し許容範囲を広くするのであれば、「直近から10年ほど前までのもの」となるでしょうか。基本的にはこれくらいの幅のなかから、故人らしさがよく表れている写真を選ぶことになります。

ただ、「ここ5年は認知症を患っていたうえに、家族との交流も避けるようになってしまい、写真がほとんど残っていない」「エンディングノートに、『自分が一番生き生きしていた時代の写真を遺影としてほしい』と書かれていた」などの場合は、10年以上前のものでも構いません。

「遺影を作る際に利用する写真は、〇年以内のものでなければならない」という法律的な縛りはありません。故人らしさが表れていたり、故人が希望した写真を使ったりしましょう。ただ、本人の面影がほとんどわからないほど昔の写真を遺影に使うことは、基本的には避けるべきです。

【現在は加工技術も発達している】
現在は写真の加工技術も発達しているため、上記で挙げたような「カラー写真をモノクロに」「洋服を和服に」などの着せ替えも自由に行えます。
多少暗い写真であっても明るくすることができますし、少し小さめの写真でも拡大することができます。また、背景に余計なものや人が写っていた場合も、加工で消すことができます。
ちなみに、シワを消して若々しい印象に仕上げることもできます。

「こんな風に加工してほしい」「この不満点を解消してほしい」などがありましたら、積極的に業者に持ちかけるようにしてください。

出典:ASUKANET「全国で亡くなられる方の約3人に1人が利用する遺影加工サービス
遺影業界の「おくりびと」アスカネット 遺影加工実績数 500万件を突破
明治時代までの遺影は写真集だった?
遺影写真の歴史ご紹介」
https://www.asukanet.co.jp/contents/news/2019/20190129.html

<遺影を用意する方法~それぞれの方法の特徴とメリット・デメリット>

さて、ここからは「それでは遺影はどうやって用意をしていったらいいか」について解説していきましょう。

遺影を用意する方法は、下記の3通りに分けられます。なお「生前に用意する方法」については後述しますから、ここでは「生前に用意されていなかった場合で、故人が旅立った後に家族が遺影となる写真を見つけた場合」に限って解説していくこととします。

  • ・自分(家族)で遺影を作る
  • ・葬儀会社にお願いする
  • ・プロの写真屋にお願いする
それぞれ見ていきましょう。

・自分(家族)で遺影を作る
家族が写真を見つけ、それを家のパソコンなどで加工し、プリントアウトする形式です。
人件費を必要としないため「安く上がること」がメリットであるかのように思われがちですが、実はコスト面では「葬儀会社にお願いする」とほぼ変わりません。詳しくは後述しますが、葬儀会社では「遺影の用意」を基本プランに含めているからです。

ただこの方法の場合、「故人の思い出に家族が向き合える頻度が増える」「故人のお見送りに、家族が積極的に関わることができる」というメリットがあります。
どちらかというとメンタル面での充足感のために行うものだと考えるべきでしょう。

もっとも、専門的な知識を持った人でもないかぎり、「仕上がりのきれいさ」は下記の2つより劣ります。この点も踏まえたうえで、自分(家族)で作るかどうかを考えた方がよいでしょう。

・葬儀会社にお願いする
おそらくもっとも多くの人が選ぶことになるのが、この方法なのではないでしょうか。
ご家族が遺影となる写真を葬儀会社に渡し。葬儀会社がそれを元に遺影を作っていきます。

それほど複雑な加工はできないものの、遺影として使うのに申し分のない仕上がりにはなります。また、頻繁に打ち合わせを行うことになる葬儀会社が担当するため、わからないことなどがあったらすぐに問い合わせができるのも魅力です。
葬儀会社の提案するプランはいろいろありますが、もっとも安いプランであっても「遺影の準備」は含まれているため、別途料金が必要になることもありません。
時間的な制約もそれほど厳しくないため、非常にメリットが大きい選択肢です。

ただ、「自分で用意することによるメンタル面での充足感」「最大限に美しい写真を」などのような、特記すべき特徴はありません。

・プロの写真屋にお願いする
「とにかく美しい写真が欲しい」「ずっと残り続けるのだから、良い写真にしたい」と考えるのであれば、プロの写真屋や写真の加工サービスを専門とする業者に頼むのが良いでしょう。
彼らは写真のプロであるため、加工もうまく、自然で美しい遺影を作り上げてくれます。複雑な加工を必要とする注文も引き受けてくれることが多いため、遺影にこだわる人はこのような専門業者に依頼するとよいでしょう。

ただ、当然のことながらお金はかかります。
また遺影は通夜までに用意する必要があるため、時間的な制約が厳しくなる場合もあります。

<生前に遺影準備をすることの意味と、その方法>

「終活」という言葉がよく知られ、また少なくない数の人が実際に終活に取り組むようになった今、「遺影を事前に撮影する」というやり方もよくとられるようになりました。

遺影を事前に撮影する場合は、プロの写真屋に頼むのが一般的です(フリーの写真家に依頼することもできます)。

生前に遺影を撮影する場合、「自分が納得のいく状態になるまで、何度でも撮り直しを行ってもらえる」「加工に関しても細かい希望を伝えられる」などのメリットがあります。
「ずっと飾り続けられる写真なのだから、きれいにとってほしい」「若々しく、私らしい写真を遺影として使ってほしい」などの希望があるのであれば、この「遺影の生前撮影」を強くおすすめします。

また、ご家族が遺影の元となる写真を探す手間を省くこともできます。大切な家族が旅立った場合、残された人は混乱と悲しみのなかで、葬儀の手配などに奔走しなければなりません。そのような状況下で「遺影の元となる写真をアルバムから探し出すこと」は、なかなかの手間です。しかしすでに遺影を作っているのであれば、このような手間を省くことが可能なのです。

費用はかかるものの、さまざまな写真屋(写真家)の見積もりを見て比較検討できるため、プラン内容と費用の面で落としどころを見つけやすいのもメリットです。

なお、「生前に遺影撮影をするところまでは考えていないが、残していくことになる家族の手間は省きたい」と考えるのであれば、事前に遺影の元となる写真を探しておくことをお勧めします。そしてこの写真をエンディングノートなどに挟み込み、「遺影を作る際には、この写真を使ってください」などのようにメッセージを残しておくのです。このようにするだけで、残されるご家族の負担は非常に少なくなります。

遺影は、「その人が旅立った後に、もっとも多く見ることになるお顔」です。
自分にとってもご家族にとっても、納得のいく写真を選んでおきたいものですね。

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