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墓じまい

「墓じまい」とは何か~墓じまいの考え方とやり方について

「墓じまい」という言葉を耳にしたことのある人は、そう少なくはないでしょう。
ただ実際の墓じまいとなると、どのようなことをしたらいいのかわからないと迷う人も多いはずです。
そこでここでは、

  • ・墓じまいの意味と、墓じまいを行う理由
  • ・墓じまいのやり方1~遠方の墓地を近場の墓地に移す
  • ・墓じまいのやり方2~合葬を行う
  • ・墓じまいのやり方3~自然葬に切り替える
  • ・墓じまいの手順
の5つに分けて、墓じまいについて解説していきます。

<墓じまいの意味と、墓じまいを行う理由>

墓じまいの意味

まず、「墓じまいとは何か」から解説していきます。

墓じまいとは、「今現在使っているお墓を解体して墓石を撤去し、使用権を管理者(お寺や民間の霊園運営団体)に返すこと」を指す言葉です。

「使用権を返すこと」に違和感を持つ人もいるかもしれませんが、これは「墓地」という土地が持つ特殊性を知ればわかりやすいかと思われます。

もともと墓地は、「借りる」ものです。私たちが墓地を得るときに支払う費用は永代使用料であり、これは「未来永劫にわたって、その墓地を『使用する』権利を得るために支払うお金」です。ここに、「墓地」の特殊性があります。
私たちが新築一軒家などを購入する場合、その家に付随する土地も一緒に「購入」することが多いかと思われます。一度購入した土地は私たち自身の財産となりますから、基本的には手放す必要はありません。

しかし墓地の場合、あくまで使用する権利を「借りている」だけであって、その土地を「買っている」わけではないのです。このため、墓じまいをするときにはその土地を管理者に「返す」必要があるのです。墓地は、一部の特例を除き、人に譲渡したり売り払ったりすることはできません。このような事情があるため、たとえ墓地を手放したとしても、手放す側がそれによって土地の売買による利益を得ることはできません。
それどころか、墓石を解体・撤去するための費用が必要となります。またこれに加えて、(手元供養以外の方法を選ぶのであれば)新しい埋葬箇所を得るための費用や、新しく埋葬するための費用も必要となります。

このように金銭的な負担が大きいにも関わらず、墓じまいを行う人も多くいます。
それには現代のライフスタイルが大きく関係しています。

少子高齢化社会であると叫ばれるようになって久しい現在、お墓の継承者がいないというご家庭も少なくありません。
またそれに加えて、「その土地に生まれて、その土地で結婚し、その土地で子どもを持ち、その土地で人生を終える」というライフスタイルを選ぶ人も少なくなりつつある現状があります。
「そもそも一生独身で、子どもを持たなかった」「自分は一人っ子で、都会に出てきてしまいもう地元に帰る予定もない」「子どもはいるが不仲であり、お墓を受け継いでくれる人もいない」などの事情で、昔から使ってきたお墓を維持できなくなるご家庭も多くみられるようになったのです。

このような事情のなかで、墓じまいをせずにそのままにしておくと、お墓が荒れ果ててしまい供養をしていく人もいなくなってしまいます。これは心情面からみても、また墓地の運営者側の視点からみても、非常にやっかいなことです。そのため、たとえ金銭的な負担が生じても、墓じまいをしようとする考え方が出てきたわけです。

<墓じまいのやり方1~遠方の墓地を近場の墓地に移す>

墓じまいのやり方1

ここからは、具体的に墓じまいのやり方に焦点を当てていきましょう。
まず取り上げるのは、「遠方の墓地を近場の墓地に移す」というやり方です。

この方法は、「地元を離れてほかの地方に家などを買い、そこで一生を過ごす予定で墓地も購入した」などのような人に向いている方法です。
引っ越し前の住所の近くにあったお墓を墓じまいして、新しく購入した(あるいは新しく購入する予定の)お墓に改めてご先祖様のご遺骨を埋葬する方法をいいます。

お墓自体は個別のものですし、一般的な墓地に入れる形態をとりますから、親族縁者からの反対も起こりにくく、もめる可能性が比較的少ないやり方だといえます。心情面での抵抗感も少なく、選びやすいかたちだといえます。
祭詞継承者がいるのであれば。この方法を選ぶのもひとつの方法です。

ただこのやり方の場合、「もともとのお墓を墓じまいしたうえで、新たに新しい住所の付近でお墓を買いなおす」という方法となるため、費用はかかります。
墓地と墓石の購入にかかるお金は統計によって異なりますが、おおよそ150万円~200万円程度だといわれていますから、これだけの予算を確保しておく必要があります。
また寺院墓地を利用する場合は、寺院との関わりを持つことが前提となることもあるため、ややハードルが高い方法だとはいえるでしょう。

なおここでは「お墓を持つこと」を前提としてお話ししていますが、「個別に利用できる納骨堂を選ぶ」という選択肢もあります。納骨堂の場合は、墓石をしつらえる場合よりは少し費用が抑えられる可能性が高いでしょう。ただしこのあたりもケースバイケースだといえます。

<墓じまいのやり方2~合葬を行う>

墓じまいのやり方2

墓じまいを行うときの選択肢のひとつとして、「合葬を行う」というものがあります。

合葬とは、「(基本的には)ご遺骨を骨壺から取り出し、ほかの人のご遺骨と一緒に埋葬する方法」をいいます(※一部の合葬墓では骨壺から取り出さずに合葬できますが、ここでは説明をわかりやすくするために、より一般的な「骨壺から取り出してほかの人のご遺骨と一緒に埋葬する方法」を取り上げます)。

合葬した場合は、二度とご遺骨を取り出すことができなくなります。
しかし合葬墓はその霊園を管理する人間によって手入れされるので、お墓が荒れてしまうということはありません。また寺院の管理する霊園で合葬を選んだ場合、毎日お経をあげてもらえるなどのアフターフォローが見込める場合もあります。

この「合葬」のスタイルは現在非常に人気を博しています。
そもそもお墓の購入時に、「永代供養墓」として提案されることもよくあります。
なお最初から永代供養墓の選択肢をとる場合、

  • ・最初から合葬にする
  • ・一定期間(霊園によって異なりますが、「最後に入った人の三十三回忌が終わったタイミング」とするところが比較的多くみられます)経過したのちに、合葬する
の2パターンが多いといえます。

「この墓地を購入したときには永代供養に切り替えることは想定していなかったが、祭詞継承者が自分1人になったうえ、もう地元に帰るつもりはない。自分自身も自然葬を希望しているので、このままだと先祖代々のお墓を守る人がだれもいなくなってしまう」などのような状態にある人に寄り添う選択肢だといえます。また合葬は、新しくお墓を建てる選択肢に比べると費用が安価であり、選びやすいのもメリットです。

ただ、「ほかの人とご遺骨が一緒になってしまう」「二度とご遺骨を取り出すことができない」という点で、心情面で割り切れない思いを抱える人もいるでしょう。特に親族とのかかわりが深い場合、親族から「先祖代々のお墓を取り壊すのみならず、ほかの人とご遺骨を一緒にするとは!」と反対される可能性もあります。

なお合葬を考える場合は、まずはその霊園を管理している運営者に連絡をとるようにします。多くの墓地は、個別の墓所とは別に合葬のためのお墓(合葬墓)を用意しています。基本的にはその合葬墓に埋葬されることになるからです。「自分の地元は新潟県で、今住んでいるのは沖縄県なので、沖縄県の墓地で合葬にしたい」などの場合は、もともとの墓地の運営管理者との間で特に丁寧に話し合う必要があります。

<墓じまいのやり方3~自然葬に切り替える>

墓じまいのやり方3

近年注目を集めている埋葬方法として、樹木葬に代表される「自然葬」が挙げられます。

自然葬には、

  • ・山や公園及び庭園型の墓地のシンボルツリーなどの下で、埋葬される形式(樹木葬)
  • ・細かく砕いた骨を、海に散骨する形式(海洋葬)
  • ・宇宙葬として、ロケットで宇宙にご遺骨を運ぶ形式
の3パターンがあります。
ただし3つめのかたちは、「実際にこれで処理できるのは、ご遺骨の一部であること」「非常に特殊なかたちであるため、実際に行うまでには時間がかかることが多い」などの理由で、あまり浸透はしていません。どちらかというと、「宇宙で眠ること」に魅力を感じる人向けの埋葬方法といえます。そのためここでは、「樹木葬」と「海洋葬」の2つを取り上げます。

樹木葬は、大自然のなかに抱かれて眠る方法であり、シンボルツリーの下に埋葬される形式をいいます。ただしこの場合、小さな石碑などを設けることができる霊園もあります。
海洋葬では、ご遺骨を撒ける海にまでクルーザーで出て、そこで散骨をするかたちです。この場合は樹木葬とは異なり、シンボルツリーなどを持ちません。このため、「手を合わせる場所」がありません。

樹木葬の場合は、木であっても「手を合わせる場所」があるため、比較的ご親族などの抵抗感は少ないことでしょう。しかし海洋葬の場合は手を合わせる場所がなく、お墓参りに行く際もクルーザーで再び海に出る必要があります。このような特殊性から、海洋葬の場合は周りの人の理解を得ることが必須となるでしょう。

樹木葬も海洋葬も、「一度行ってしまえば、二度とご遺骨を取り出すことはできない」といわれています。そのため、「いったん墓じまいをして、その後に自然葬をしてしまうと、二度と改葬ができない」と説明されることもあります。
しかしこれは、ある意味では正解ですが、ある意味では間違っています。
樹木葬の場合、「骨壺から出して埋葬するかたち」が非常に多く、この形式を選べば確かに再びの改葬はできません。しかしごく一部の樹木葬では「骨壺ごと埋葬ができる」としているところもありますから、そのような霊園を選べば、「もともとのお墓を墓じまいした後に樹木葬をし、さらに近場で墓地を購入した後に骨壺を取り出して改葬すること」は可能です。
なお、海洋葬の場合は粉骨をして海に撒くことになりますから、ご遺骨の一部を手元に残している……などのような特殊な例を除けば、改葬は不可能です。

ちなみに樹木葬でも、合葬を選択することができるケースが極めて多いといえます。樹木葬の合葬の場合も、骨壺からご遺骨を取り出してほかの人のご遺骨と混ぜることになるケースがほとんどです。このようにしてほかの人のご遺骨と混ぜてしまった場合は、もう取り出すことはできません。

<墓じまいの手順について>

墓じまいの手順

ここからはより具体的に、墓じまいの手順について解説していきます。

1.親族と話し合いをする
墓じまいは、大きな決断です。特にそのお墓が持つ歴史が長ければ長いほど、親族との関わりが深ければ深いほど、その決断は大きな意味を持つでしょう。改葬先が合葬や自然葬であるならばなおさらです。
そのため、墓じまいにいたる前に、まずは親族とよく話し合い、理解を得なければなりません。その場合は、墓じまいをしなければならない理由を冷静に丁寧に告げ、墓じまい後にどのようにするかを説明するとよいでしょう。

2.霊園管理者に連絡をする
霊園管理者に連絡をして、墓じまいをしたい旨を告げます。そのまま霊園管理者が受け入れてくれれば、「どのようにしてやったらよいか」「注意点はあるか」などを確認しておくとよいでしょう。またこのときに、埋葬証明書を受け取ります。
また、話し合いがこじれたのならば、弁護士を入れることも考えるようにします。

3.新しい受け入れ先を決定する
改葬先をどこにするかを決定します。
上記では「新しくお墓に入れる」「合葬にする」「自然葬を選ぶ」を選択肢としましたが、納骨堂などの選択肢もあります。改葬先が決まったら、受入証明書を発行してもらいます。
また、ご遺骨は「〇か月以内に埋葬しなければならない」という法的な決まりがあるわけではありませんので、手元で供養していく手元供養のかたちを選んでも問題ありません。

4.改葬許可証の発行を受ける
埋葬証明書と受入証明書をあわせて、現在のお墓があった市町村から「改葬許可書(この前に改葬許可申請書の提出が必要)」を受け取ります。

5.ご遺骨を取り出す~必要に応じて閉眼供養~墓地の整備
ご遺骨を取り出します。また、必要に応じて閉眼供養を行います。その後に墓地を更地にして、墓じまいの終了です。

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