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合祀を行うお墓を購入する際に気を付けるポイント

葬儀のかたちも弔いのかたちも多様化していっている現在においては、「1人(あるいは1家族)で1つのお墓に入り、子々孫々までそのお墓を受け継ぎ、手入れをしていってもらう」という弔い方法以外のやり方も数多く提案されるようになりました。

ここでは、そんな弔い方のうちのひとつである「合祀」について取り上げます。

<合祀とは、ほかの人と一緒にご遺骨を弔っていく方法をいいます>

「合祀」は、「ごうし」と読みます。
ごく簡単に言うのであれば、「家族ではないほかの人のご遺骨と一緒に、故人のご遺骨を弔う方法」だといえます。
なお「合祀」という言葉は厳密には神道の名称であるため、「合葬(がっそう)」と言い換えられることもあります。ここではこれ以降は、「合祀・合葬」の並列表記でお話ししていきます。

合祀・合葬の歴史自体は非常に古く、縄文時代にはすでにみられたかたちだとされています。
しかし現在のような合祀・合葬のかたちが広がり始めたのは、1990年ごろからだといわれています。1993年には公営の霊園にて合葬墓が作られたとされており、現在では多くの霊園でみられるかたちになっています。お寺が管理する寺院墓地でも合祀・合葬墓が作られていることが多く、今では「弔いのかたちのひとつ」として広く認知されています。

合祀・合葬のやり方はいくつかありますが、ごく一部では、「骨壺からは出さず、骨壺のまま、合祀・合葬墓に入れる」というやり方をとっている霊園もあります。このため、「合祀・合葬をする際には、必ず骨壺から出さなければならない」というわけではありません。
ただこのような「骨壺から出さずに、合祀・合葬墓に入れる」とする弔い方法はそれほど一般的ではなく、基本的には「骨壺から取り出して、ほかのご遺骨と故人のご遺骨を混ぜる」というやり方がとられます。ここでも、特段の記載をしない限りは、「合祀・合葬=骨壺からご遺骨を出して、ほかの人のご遺骨と一緒に弔う方法」として紹介していきます。

<合祀・合葬墓を選択するメリットとは>

合祀・合葬を選択することには、数多くのメリットがあります。

  1. 一般的なお墓に比べて費用が安い
  2. 継承者がいなくても安心
  3. 「手を合わせる場所」がある
  4. にぎやかな環境で眠ることができる
ひとつずつ見ていきましょう。

1.一般的なお墓に比べて費用が安い
合祀・合葬が選ばれる一番大きな理由は、やはり「費用が安いこと」だといえるでしょう。

合祀・合葬の場合、個別にお墓を建てる必要がありません。また、霊園などの一画にある比較的大きめの共同スペースに入れられるかたちをとることが多いため、霊園の土地を個人で借りる必要がありません。

お墓を買うための費用は業者によって異なりますが、100万円近くになることも珍しくはなく、非常に大きな金銭的負担となります。特に、「葬儀が終わってすぐにお墓を建てなければならない」「先祖代々のお墓がないため、一から自分たちで建てなければならない」という場合は、これが大きく響いてきます。
また霊園の土地は一般的な土地とは異なり、永代にわたって使用する権利を「借りる」ものであり、「自分たちの物として、好き勝手に処分できるもの」ではありません。
このようなことをふまえれば、「自分たち用のお墓を買うこと」にためらいを覚える人がいるのは当然のことです。

合祀・合葬墓は、多くの人で1つの墓所・1つのお墓を使うため、費用が抑えられます。
合祀・合葬は、霊園(や納骨堂)を利用する埋葬方法のなかでもっとも費用が安い傾向にあり、ケースによっては30000円程度で埋葬できることもあります。高くても30万円程度に収まることが多いでしょう。対して、一般的なお墓を建てる場合は、墓石費用+墓地の永代使用料で200万円程度がかかることも珍しくありません。

また、合祀・合葬の場合、管理費が不要なところも非常に多く、「1度最初に払ってしまえば、それで終わり」という気軽さも魅力です(※前述したような「骨壺から出さずに合祀・合葬する」とするスタイルの場合は、管理費がかかることもあります)。

2.継承者がいなくても安心
少子高齢化社会にある日本では、「お墓を受け継いでくれる子どもがいない」というご家庭も多くみられます。また、「子どもはいるけれど遠方に住んでいて、地元に帰ってくることはないと思われる」「子どもや親せきはいるが、関係は希薄で、継承者とはできない」あるいは「子どもはいるし円満だが、お墓を受け継がせる苦労はさせたくない」と考える人もいることでしょう。

このような場合でも、合祀・合葬墓ならば安心です。

合祀・合葬墓の場合、その霊園の管理者がずっと手入れをしていってくれます。そのため、「放置されたお墓が荒れ果ててしまった」「継承者がおらず、最終的にお墓が撤去されることになってしまった」などのような状況に陥ることがありません。

3.「手を合わせる場所」がある
合祀・合葬墓を選ぶ場合、手を合わせる場所があるのも大きなメリットです。

たとえば自然葬のひとつである「海洋葬」の場合、

  • ・継承者を必要としない
  • ・比較的安価で行える
  • ・手入れも管理費もいらない
といった点では合祀・合葬墓と共通しています。
しかし海洋葬の場合、「故人の骨がある場所」が判然としなくなりますから、手を合わせることは基本的にはできません。もし行おうとするのであれば、フェリーなどを借りて、骨を撒いた海域の近くに行く……とするやり方をとる必要があります。

しかし合祀・合葬の場合は、「(共同の)お墓」があるため、きちんと手を合わせる場所があるのです。

4.にぎやかな環境で眠ることができる
合祀・合葬はしばしば、「継承者がいない人でも選べる」「お金がなくても選べる」などのように、「ほかの手段がない人」に提案される選択肢となっています。

しかし、弔いの方法に良い・悪いはありません。

生前からにぎやかなところが好きだった人や、周りの人と交流することを好んでいた人の場合、「死んだ後もにぎやかなところが良い」として、あえて合祀・合葬を選択することもあります。
特に「初めてのお墓であり、まだ親族のだれも入っていない」などの場合は、「一人で過ごすのが嫌だから」という理由で合祀・合葬墓を選択したくなる人もいることでしょう。
このようにプラスの面から合祀・合葬墓をとらえる人もいます。

<合祀・合葬を選択することによるデメリットとは>

合祀・合葬には、メリットと同時にデメリットも存在します。
それについて紹介していきます。

  1. 基本的には、一度行うと二度と取り出すことはできない
  2. ほかの人と一緒に埋葬されることになる
  3. 家族・親族の理解が得られにくいこともある
それぞれ見ていきます。

1.基本的には、一度行うと二度と取り出すことはできない
「骨壺から取り出すことなく、1つのお墓に入れる」というやり方をとる場合以外では、骨壺から取り出して埋葬することになります。そのため、一度この選択肢を選んでしまうと、「お金ができたから、新しくお墓を建てる」「地元を離れることになったので、お墓からご遺骨を取り出して一緒に連れていく」というやり方をとることができません。

基本的には不可逆のやり方であるため、判断は慎重に行う必要があります。

2.ほかの人と一緒に埋葬されることになる
合祀・合葬のもっとも大きな特徴は、「ほかの人と一緒に埋葬される」ということです。
特殊な形態でもない限り、ご遺骨自体がほかの人と混ざり合ってしまうため、心理的な抵抗感を覚える人も多いことでしょう。

また、「家族だけで落ち着いて過ごせるお墓」とは異なり、ほかの人と一緒に過ごすことになります。これを「にぎやかで良い」ととらえるか、「静かに過ごせない」ととらえるかは個々人の考え方によって異なりますが、このような特色を持っていることは把握しておくべきです。

3.親族の理解が得られにくいこともある
「家族葬」についても同じことがいえますが、弔いは「小規模なかたちで」と考えれば考えるほど、家族・親族の理解が得られにくくなる傾向にあります(絶対的なものではありません)。

特に合祀・合葬の場合、上記で述べた「ほかの人とご遺骨が一緒になってしまうこと」に強い抵抗感を示す人もいます。
最終的には故人の生前の意思や、故人の近くで過ごしてきた家族の意思が優先されるべきではありますが、親族のなかで反対している人がいるのであればよくすり合わせておくことが重要です。特に、「故人は合祀・合葬墓を希望していたが、故人と親しく付き合っていた(あるいは血縁が近い)人が反対している」という場合は、後々のトラブルを避けるために、しっかり話し合っておくことが必要です。

また、「菩提寺に先祖代々の墓がある。しかし故人の強い希望により合祀・合葬墓に埋葬するつもりであり、かつ祀・合葬墓は菩提寺の霊園にはない」という場合は、菩提寺の住職にも話をしておきましょう。

<合祀・合葬墓と永代供養墓の違い>

このような性質と特徴を持つ合祀・合葬墓ですが、それとしばしば混同されがちなものとして、「永代供養墓」があります。
この違いについて解説していきましょう。

「ほぼ同じものであり、永代供養墓の形態のひとつとして合祀・合葬墓がある」とする説もあれば、「永代供養墓とはある程度の期間だけ個別に埋葬し、期間が過ぎたらほかの人と一緒に埋葬する。対して合祀・合葬墓とは、初めからほかの人と一緒に埋葬することをいう」とする説もあります。

この2つは、どちらかだけが正しく、どちらかだけが間違っているといえるものではありません。
ただここでは後者のスタンスをとるかたちで解説していきます。

この場合、永代供養墓は「十三回忌や三十三回忌が終わった後に、お墓からご遺骨を出し、同じ敷地内にある合祀・合葬墓に埋葬する」というやり方をとることになります。つまり、初めの頃は家族だけで眠っていて、自分の子どもや親戚が管理しにくくなるようなタイミングで合祀・合葬されることになります。最初から合祀・合葬墓に入るよりも心理的な抵抗感が少ないこと、無縁仏になる可能性がないことなどが、永代供養墓が受け入れられる理由です。

対して合祀・合葬墓は、上でも述べたように、「最初からほかの人と一緒に埋葬される形態」を指します。永代供養墓とは異なり、「個別に埋葬される期間」がないことが合祀・合葬墓の特徴です。
また、最初に個別の墓石が必要となる永代供養墓よりも、合祀・合葬墓の方が費用が安く上がるというメリットもあります。

永代供養墓と合祀・合葬墓の違いは、「合祀・合葬されるタイミング」です。
ただすでに触れたように、「何をもって永代供養墓とし、何をもって合祀・合葬墓とするか」は、専門サイトであっても見解が異なります。
そのため実際に申し込むときは、「合祀・合葬されるタイミング」について必ず確認しなければなりません。

<合祀・合葬墓を選ぶときのポイント>

最後に、合祀・合葬墓を選ぶときのポイントについて解説していきます。

  1. 対応している宗教・宗派を問い合わせる
  2. 納骨のときのやり方について知る
  3. 「供養」の範囲について確認する

1.対応している宗教・宗派を問い合わせる
合祀・合葬墓については、「宗教や宗派の縛りがない」と解説されることもあります。
しかしこれは、厳密にいえば間違いです。

お寺が管理する寺院墓地などの場合、合祀・合葬が前提となるプランであっても、「在来仏教(真言宗や浄土宗、曹洞宗などの、伝統のある仏教の宗派のこと)に限る」としているところもあります。

また、「生前の宗教や宗派は問わないが、その後の読経は寺院の宗派に基づいて行う」というところも多くみられるので注意が必要です。

2.納骨のときのやり方について知る
合祀・合葬墓に入れる場合は、基本的には骨壺から遺骨を取り出して、ほかの人とひとまとめにして埋葬することになります。

しかしなかには、「骨壺をそのまま入れられる」「骨壺から出さなければならないが、布の袋に入れた状態で埋葬できる」としている合祀・合葬墓もあります。

このような「納骨のときのやり方」は、その合祀・合葬墓を管理する霊園によって見解が異なります。
「できればほかの人とご遺骨を一緒にしたくない」と考えているのであれば、必ず事前に確認するようにしてください。

3.「供養」の範囲について確認する
合祀・合葬墓は、「無縁仏にならない」「ずっと供養してもらえるから安心」とされています。
ただ、この「供養の範囲」については、霊園ごとで考え方に違いがある点には注意が必要です。

たとえば寺院が管理する合祀・合葬墓の場合、「折々のタイミングで、僧侶が読経をあげる」「希望されれば、お盆やお彼岸のときの法要にも対応する」としているところもよくみられます。
対して民間の霊園の場合、「行うのはあくまで管理や掃除までであって、読経などは行わない」としているところもあります。

もともと宗教への帰属意識が薄く読経などを必要としないのであれば問題はないのですが、「読経もしてほしい」と考えるのなら「どこまで行ってもらえるか」を確認することが重要です。

今や合祀・合葬は、弔いの選択肢のうちのひとつとなっています。
その特徴をしっかりと知り、自分や家族に適した埋葬方法かどうかをよく考えましょう。

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