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樹木葬購入時の見極めポイント

樹木葬の霊園を購入する、そのときの見極めポイントについて

近年よく取り上げられるようになった「樹木葬」ですが、これを購入する際にはいくつかのポイントがあります。

それを、

  • ・樹木葬とは何か
  • ・景観から見る樹木葬のタイプ
  • ・埋葬方法
  • ・宗教と宗派について
  • ・見学のときに見たいポイント

に分けて解説していきます。

<樹木葬とは何か>

樹木葬とは、「山や、シンボルツリーの下で眠る埋葬形態」をいいます。

大自然のなかで眠ることができるという特性から、自然を愛する人に非常に人気があります。
またこの形態の場合は、永代供養が前提となるため、祭詞継承者がいない人や、1人でゆっくりと眠りたい人、子どもに負担をかけたくない人などにも非常に好まれています。
墓石を持たないため、墓石を購入する費用を必要とせず、比較的安価な埋葬方法であるのも樹木葬の魅力のうちのひとつです。ただ、形態によっては100万円を超えるものもあるので、このあたりは注意しましょう。

なおここでは「シンボルツリーの下で眠ることができる」としていますが、実際の樹木葬霊園においては、石碑などを置くことができる場合もあります。また、小型の墓石のようなものを置ける霊園もあります。さらに、シンボルツリーも「ある程度選択肢があるので、そのなかから好きなものを選べる」などのようにしているところもあります。
このあたりは霊園によって違いがあるので、気になる場合は問い合わせをしてみるとよいでしょう。

「樹木葬」と一口にいっても、その形態はさまざまです。業者ごと・霊園ごとによってどのような樹木葬を扱っているかが異なるので、それについてみていきましょう。

まず初めに、「樹木葬の種類の分け方」について取り上げます。
これは大きく、

  1. どのような景観をとるか
  2. 個別に埋葬されるのか、それとも合同で埋葬されるのか
  3. 宗教と宗派について

3つに大別されます。

それぞれみていきましょう。

<樹木葬のタイプを知ろう~どのような景観をとるか>

まずは、「景観から見る違い」について解説します。

「樹木葬」は、「植物の元で眠る埋葬形態」である点は共通していますが、その景観は大きく異なります。
一般的に、樹木葬の景観は、

  • ・公園型
  • ・庭園型
  • ・里山型

に分けられます。

・公園型
一般的な公園をイメージした景観をとる樹木葬です。霊園のなかにベンチがあったり、お墓があるところを少し盛り上げて芝生などを入れたりするタイプの樹木葬であり、非常に和やかな雰囲気をとります。
墓石を用いて作る一般的な墓地と性質は似ていますが、墓石の代わりに木々が使われているのが特徴です。
樹木葬におけるもっとも一般的なかたちだとされており、非常に多くの業者がこの「公園型」の樹木葬霊園を作っています。

・庭園型
庭園のように整えられた景観を持つ樹木葬です。
一概に言い切ることはできませんが、一般的に、公園型よりももっとおしゃれでまとまりのあるデザインにしたものが多く、「空間全体がどのようにみえるか」を意識して作られたものも多く見られます。
また明確な建築意図をもって作られた霊園も多く、西欧風ガーデンのようなデザインをとるところも多いのが特徴です。開放的で明るく、美しい状態に整えられた庭園型霊園は、「死後もきれいなところで眠りたい」という人に向いているでしょう。

ただ、公園型と庭園型は、その区別がややあいまいです。明確に「うちは公園型であり、庭園型ではありません」と断言しているところは基本的にはありません。そのため、「人による手入れがそれなりになされている樹木葬の霊園」ということで、公園型と庭園型を一緒にして論じる場合もあります。実際の現場においても、定義づけやタイプを明確に行う必要性は薄いので、あくまで参考程度に考えておいてください。大切なのは、「公園型か、それとも庭園型か」の区別をはっきりさせることではなく、「その(整備された)樹木葬霊園が、自分の好みに合うかどうか」です。

・里山型
「公園型と庭園型の間には、はっきりとした区別が存在しないことも多い」としましたが、里山型の場合はかなり個性的な景観をとるので、公園型・庭園型との違いは比較的わかりやすいかと思われます。
もちろん業者によっても多少異なりますが、里山型の場合、「あまり人の手が入らない環境のなかで眠ることができる」というのが大きな特徴です。一般的な山林のなかにご遺骨を埋葬する方法であり、自然の山を利用して弔っていきます。
雄大な大自然のなかで眠ることができるのがもっとも大きなメリットですが、この里山型の樹木葬は非常に数が少なく、選択肢がかなり限られます。また、「自然の山のなかで眠る」ということから、アクセスが良くないところにある可能性が極めて高いのも、リスク要因のうちのひとつです。

<樹木葬のタイプを知ろう~個別に埋葬されるのか、それとも合同で埋葬されるのか>

樹木葬でも樹木葬以外の形態でも、ほぼ必ず取り上げられるのが「個別で埋葬されるのか、それとも合同で埋葬されるのか」の問題です。

樹木葬の場合、

  • ・ずっと個別で眠り続けられる
  • ・初めのうちは個別で眠り、その後合葬される
  • ・最初から合葬される

の3パターンがあります。

・ずっと個別で眠り続けられる
樹木葬はしばしば「合葬を前提とするもの」のように語られますが、実際には個別で埋葬するプランを用意している霊園もあります。
たとえば、「たとえ継承者がいなくなったとしても、ほかの人と一緒に埋葬されることはなく、ずっとその場に自分(たち)だけで眠り続けられる」というプランを打ち出している樹木葬霊園もあります。
「ほかの人と遺骨が混ざり合うのはいやだ」「自分(たち)だけで、永遠に安らかに眠りたい」「しかし、墓石は持ちたくない。自然のなかで眠りたい」と考えている人におすすめの形態です。

・初めのうちは個別で眠り、その後合葬される
一般的なお墓でも同じことがいえますが、現在は「しばらくの間は個別で眠り、一定期間が過ぎたら合葬をして永代供養を続けていく」とするスタイルの弔い方もあります。
このタイプの場合、「初めのうちは個別で埋葬し、最後の人がその場所に入ったのち、数年~数十年が経過したら合葬墓に入れる」というかたちをとります。
「何年後に合葬されるか」については樹木葬霊園ごとあるいはプランごとに異なりますが、一例として「三十三回忌のタイミング」が挙げられます。

「三十三回忌を迎えるころには、自分たちのことを知っている人も少なくなるだろう」「無縁仏になってしまうのは困るが、まだ命を引き取ってから間もない間は自分たちだけで過ごしたい」と考えている人にはおすすめのプランです。

・最初から合葬される
「とにかくお金をかけたくない」「寂しいところで弔われるのは嫌なので、にぎやかに暮らしたい」と考えている人に向いているのが、「最初から合葬されるスタイル」です。
これは個別のスペースを持たず、最初からほかの人と一緒に眠ります。

樹木葬の合葬の場合、大きなシンボルツリーを設けて、その下で眠るのが一般的です。親族の反対などがある可能性も否定しきれませんが、費用面では非常に負担が少ないのがメリットです。
またこの形態をとる場合、家族が足を運ばなくても、運営団体側で永代供養をしていってくれるのも大きなメリットです。

<樹木葬のタイプを知ろう~宗教や宗派についても確認したい>

樹木葬ではしばしば、「宗教や宗派に関係せずに、だれでも選ぶことができる埋葬形態である」とされます。しかしこれは、厳密には間違っています。

樹木葬の場合、たしかに「宗教や宗派を問わずに、だれでも入ることができる」としている霊園が多いといえます。特に民間の樹木葬霊園の場合、生前の宗教や宗派が問われることは、原則としてありません。また現在は、寺院の樹木葬霊園であっても、「生前の宗教や宗派は問わない」としているところが非常に多くあります。このため、在来仏教以外を信仰する人の受け入れ先として、樹木葬霊園が活用されているという現実もあります。なおこの傾向は、樹木葬に限らず、海洋葬でもみられます。

ただしその場合であっても、たとえばその樹木葬霊園の管理者が浄土真宗のお寺だとすれば、「読経は必須ではないが、読経を必要とするのならば、浄土真宗の僧侶を派遣し、浄土真宗の読経(供養)を行う」としているところもみられます。
また、それほど数は多くはありませんが、「生前の宗派は問わないが、在来仏教徒のみ埋葬を許可する」としている寺院管理の樹木葬霊園もあります。

このため、「樹木葬ならば、たとえどこであったとしても、宗教や宗派を問わずに埋葬ができる」と考えるのは誤りです。
特に、

  • ・寺院が運営する樹木葬霊園への埋葬を希望している
  • ・在来仏教以外の仏教系の宗派を信仰している(新興宗派など)
  • ・仏教以外の宗教(神道やキリスト教、また日本では信者が比較的少ないヒンドゥー教など)を信仰している
  • ・ほかの宗教の供養や読経をしてほしくない
などの場合は、注意が必要です。この場合は、自分(や故人)の信じている宗教が何であるか、どのような埋葬形態を希望しているか、そしてそれでも問題がないかなどを、事前に樹木葬霊園の管理者に共有し、それに理解を示してもらえるかを確認する必要があります。
後になって、「実は宗教上・宗派上問題があった」などのようになった場合は大きな問題となりかねないので、決める前の段階でしっかり話し合うことが何よりも重要です。

幸い現在は樹木葬霊園の選択肢は非常に広くなっているため、1~2か所で断られることになったとしても、受け入れてくれる樹木葬霊園を探すことはそれほど難しくはないでしょう。特に選択肢が多い土地柄の場合は、ほとんど困ることがないかと思われます。

もしどうしても折り合いがつかなければ、海洋葬などの選択肢もあります。

<見学のときに見たいポイント>

樹木葬に限った話ではありませんが、霊園選びにおいては、実際に足を運んで霊園を見学することが重要です。資料で見たときと実際に見たときでは、印象が大きく変わることもあります。

霊園見学の際に見たいポイントはいくつかありますが、樹木葬の場合は特に下記の点を見るとよいでしょう。

1.季節による変化
生前購入を前提として樹木葬の選択肢を考えていて、実際に埋葬するまでに時間をかけられるのであれば、「季節による変化」を見ておくとよいでしょう。
樹木葬はその特性上、春と夏、秋と冬と、季節によって景観が非常に異なります。春は非常に美しかったけれど、冬は少し寂しく見える……という可能性もあるので、可能ならば、1年を通した移り変わりをチェックしておきたいものです。

2.アクセスのしやすさを確認する
里山型の樹木葬霊園の場合、アクセスがしにくい場所にある可能性が高くなります。
また、公園型の樹木葬霊園や庭園型の樹木葬霊園でも、アクセスがしやすいかどうかは重要です。特に、頻繁にお墓参りに行きたいと考えているのであれば、この「アクセスのしやすさ」はとても大切なポイントとなってくるでしょう。
なかには最寄り駅からシャトルバスなどが出ている樹木葬霊園もあります。その場合は、シャトルバスの出る頻度などもチェックしておくとより良いでしょう。
公共交通機関が弱い樹木葬霊園の場合は、駐車場があるのか、あるとすれば無料か有料かをチェックします。「霊園には駐車場がついているもの」と考えがちですが、都心部にある公園型樹木葬霊園や庭園型樹木葬霊園の場合、駐車場が設けられていないところもあります。

3.バリアフリーかどうか
よく整備された公園型樹木葬霊園や庭園型樹木葬霊園の場合、バリアフリー化されているところが主流です。車椅子でも楽に通ることのできる通路などが用意されている場合も多く、足腰が弱い人でも通りやすい環境に整えられていることが比較的多いといえます。ただこれも絶対的なものではありませんから、実際に足を運んだときに確認をしておきたいものです。
なお、里山型の樹木葬霊園の場合、そもそも「山登り」を前提としているため、足腰が弱い人の場合はお墓参りはかなり厳しいと言わざるを得ません。

樹木葬霊園に限った話ではありませんが、一度埋葬箇所を決めてしまうと、後から改葬するのはなかなか大変です。選ぶ段階でしっかり精査したいものですね。

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