墓石のおすすめデザイン
墓石のおすすめデザイン~移り変わるお墓のデザイン、その傾向と人気のポイント
「墓石」は、その人にとって最後の家となるものです。そのため、故人の好みに合ったものを選びたいと考える人も多いことでしょう。また、生前にお墓を購入しておきたいと計画を練っている人もいるかもしれません。
そんな人のためにここでは、
- ・そもそもお墓にはどんな種類があるのか
- ・人気のあるデザイン墓石を形からみる
- ・故人の人生の指針であった言葉を彫り込む形式
- ・素材にこだわって墓石を作る方法
- ・好みにあった墓石を作るときの注意点
<そもそもお墓にはどんな種類があるのか>
まず、「そもそもお墓にはどのような種類があるのか」から解説していきましょう。
なお、単純に「お墓の種類」とした場合は、納骨堂や樹木葬、一般的な墓地などのように、「埋葬方法の違い」を指すこともありますが、ここでは単純に「墓石の形」に焦点をあててお話をしていきます。
墓石の形には、大きく分けて、
- ・和型墓石
- ・洋型墓石
- ・デザイン墓石
【和型墓石について】
「お墓の形を想像してみてください」と言われたときに、日本に住む人の多くが想像するであろう形が、この「和型墓石」です。
いくつかのバリエーションはありますが、基本的には、「天を表す竿石」「人を表す上台」「地を表す中台」、そしてそれを支える下台(芝台とも呼ばれる。以下では「下台」に統一)によって構成されることが多いといえます。また、下台の前には拝石と呼ばれる部分が設けられます。
長方形の形をとるのが「竿石」であり、ここに「〇〇家先祖代代之墓」などのような彫刻が記されることが多いといえます。日本に昔からある墓石の形ではありますが、この形式が広まったのは江戸時代くらいからだといわれています。
また、和型墓石の種類としては、ほかにも「大名墓」と呼ばれるものもあります。これは傘のようになっている石をかぶせたものです。また、塔のような形をとる「五輪塔型」などもあります。
非常にスタンダードな形であるため、多くの人にとって抵抗感なく受け入れられる形だといえます。
【洋型墓石】
近年人気を博しているのが、「洋型墓石」です。
これは文字通り、西欧などによくみられる形の墓石であり、一段もしくは二段のスタイルをとるのが一般的です。竿石・中台・下台で構成される洋型墓石は、箇所名こそ和型墓石と同じであるものの、その方向性は大きく異なります。
一番大きな違いは、「竿石の形」でしょう。
和型墓石の場合、竿石は縦長の長方形となりますが、洋型墓石の場合は横に長い傾向にあります。また、縦と横の比率は大きくは変わりません。また和型墓石ではストレートの石を用いますが、洋型墓石の場合は上辺付近よりも下辺付近の方が厚みがある斜めカットが使用されることもよくあります。なお、斜めにカットされたものは、特に「オルガン型」と呼ばれます。
洋型墓石は、和型墓石に比べておしゃれな印象を与えること、デザイン性が比較的高いことから、近頃ではよく選ばれている形です。また、安定感があるのも人気の理由のひとつです。
【デザイン墓石】
詳しくは次項から解説していきますが、デザイン墓石には明確な共通点はありません。
故人の性格や家族の思いを反映して作られる非常に自由度の高い形の墓石であり、独特の形やデザインを持ちえます。
たとえば故人の愛した道具の形の墓石としたり、故人の生きる指針であった言葉を彫り込んだり、素材にこだわったりして作られることが多いものです。
デザイン墓石の場合、故人や家族の希望を最大限反映して作ることを目的とするため、非常に個性豊かな仕上がりになります。墓石の加工技術が発達したからこそ可能になったもので、現在ではデザイン墓石を対象としたコンテストなども行われています。
<人気のあるデザイン墓石を、「形」からみる>
ここからは、上で取り上げたデザイン墓石の種類について解説していきながら、現在人気を博している墓石のデザインを模索していきましょう。
デザイン墓石のなかでも、比較的わかりやすいのが、「一般的な墓石と形状を変えた墓石」です。
たとえば、故人がバイオリンを愛していたのであればバイオリンをかたどった墓石とし、車が好きだったのであれば愛車の形をした墓石にするなどです。故人の趣味を反映した個性豊かな墓石のデザインとなるうえ、一目見ただけでもほかの一般的な墓石との差別化が図れるため、注文住宅に住むような感覚で選べるのが魅力です。
また、趣味の物そのものをかたどった形ではなくても、「真ん中に、立体的なお花の形のブロンズ像を配する」「斜めにカットして個性を出す」「真ん中に円で作ったモニュメントを置き、そのサイドに柱を設置する」などのような形を作ることも可能です。
下記で紹介する「故人の人生の指針であった言葉を彫り込む形式」と、「素材にこだわって墓石を作る方法」と両立することもできるため、意外なほどに汎用性が高い形式だといえるでしょう。
<故人の人生の指針であった言葉を彫り込む形式>
一般的なお墓に彫り込む言葉といえば、それぞれの名前や亡くなった年、「〇〇家先祖代代之墓」「南無妙法蓮華経」などでしょう。
しかし多様化していく墓石のデザインのなかで、それ以外の言葉も提案されるようになりました。たとえば「想」「絆」などの一文字を彫り込んだ墓石は、比較的よくみられる形です。広めの墓地に足を運べば、このように刻印された墓石を1つ2つは見つけることができるはずです。
さらにここから一歩進めて、「故人が人生の指針としていた言葉を彫り込む」という形式を採用することもできます。故人が愛していたことわざなどを、墓石に彫り込むのです。こうすることで故人の人柄をしのぶ助けとなりますし、そこに集う故人を愛した人々も故人を思い出しやすくなるでしょう。故人が生前に繰り返していたその言葉を思い出して、柔らかい笑みを浮かべる人もいるかもしれません。
また、「自分は医者だったので、後進に伝える言葉を残したい」「この墓石の周りに集うであろう後輩に、自分をきっかけとして語らいの場を持ってほしい」と願って、墓石に言葉を彫り込む人もいます。
なお、この「言葉を彫り込む」という形式は、「生前にお墓を購入する」というスタイルと特に相性が良いといえます。デザイン墓石の場合は言葉を彫り込む形式以外でも生前の購入が望ましいといえますが(後述します)、特に「言葉」の場合は、その傾向が顕著です。
故人の趣味などに関しては亡くなった後でも周りが推察しやすいですし、「その言葉を繰り返し言っていた」などの場合は死後に建立するかたちでも大きな問題にはなりえませんが、「生きる指針としていた言葉が、心の中だけにある」という場合は、生前に作ってしまわないと、だれもそれを反映することができません。
また「自分の最後の思いを周りの人に伝えたい」という理由によって、言葉を彫り込んだデザイン墓石を希望する人もいます。この場合でも、やはり生前に購入しておかないと伝えることが難しくなるでしょう。
<素材にこだわって墓石を作る方法>
素材にこだわって墓石を作る方法もあります。なおここでは便宜上「墓石」の表現を使いますが、「石」ではない素材を使って作られる墓所もある、という解説です。
たとえば、ガラスを取り入れた墓石は近年比較的よくみられるようになりました。石の墓石のなかにガラスを一部取り入れるかたちもあれば、ガラスだけで墓石を作る方法もあります。
ガラスを利用した墓石は非常に美しく繊細なイメージに仕上がるため、デザイン性が高い墓所となるのが特徴です。
墓石に使われるガラスは非常に硬度が高く、衝撃や熱、酸などの変化にも強いため、墓石としての役割を十分に果たすことができます。
色やデザインもバリエーションに富み、青や赤、黄色や紫、緑といった色も選べるようになっています。
透き通ったガラスの墓石は、石で作られた墓石では絶対に持ちえない方向性の美しさを持つようになります。可憐な印象を作り出すことができるので、選択肢のひとつに加えてもよいでしょう。
また、「石を使った墓石」であっても、「どのような石を使うか」によってデザイン性が大きく変わってくることは認識しておくべきです。
「墓石」というと御影石を思い浮かべる人も少なくないと思われますが、現在では墓石に使われる石の種類も多様化しています。輸入石材を積極的に取り入れているところもあり、墓石の種類は無数にあると言っても過言ではないでしょう。
模様が入っているように見える墓石や、赤みを帯びた墓石などもあります。ちなみに、ピンク色に見える優しい色の墓石もあります。ピンク色の墓石は特に人気が高いので、女性のお墓などに採用するのも良いかもしれません。
「石」という昔から使われている素材であっても、その種類にこだわることで、デザイン墓石としての性質を持つようになります。
なお現在は、墓石として使われている石はいずれも高い耐久性を誇ります。そのため、「安いものだからすぐに劣化するのではないか」「デザインを重視したら、すぐに壊れる墓石になるのではないか」との心配は無用です。
なお、石以外の素材として、ほかにも「コンクリート」などが挙げられます。コンクリートは人工物で、砂利と砂とモルタルなどを練って作られたものです。写真などで見ただけだと石とあまり変わりがないように見えますが、劣化しやすく、長くもたせたいと考える墓石には基本的には向いていません。そのため、昔はこのようにコンクリートで作られた墓石もありましたが、2021年現在はほとんどみられなくなっています。
<好みに合った墓石を作るときの注意点>
ここまで、デザイン墓石の種類とその人気について解説してきましたが、デザイン墓石を作る場合には注意点もあります。
それが下記の3点です。
・指定石材店制度がある霊園もある
・オリジナルの墓石を作る場合は時間がかかる
・自分の意見を最大限に生かしたデザイン墓石を希望する場合は、生前に作ると確実
それぞれ見ていきましょう。
・指定石材店制度がある霊園もある
「指定石材店制度」とは、「ここの霊園を使うのであれば、霊園側が指定する石材店でお墓を作ってください」とする制度のことをいいます。このような指定石材店制度が敷かれる理由はさまざまで、「寺院墓地であり自分たちの生活圏内でもあるので、お寺側が慣れた業者以外を入れたくないと考えている」「墓石の形が統一されることで、統一感のある墓地に仕上がる」「アフターケアが充実している」などがあります。
このような指定石材店制度がある場合、墓石のデザインにも制限が出てくる可能性が高いといえます。
・オリジナルの墓石を作る場合は時間がかかる
デザイン墓石は、故人や家族の思いを反映して作ることになります。
そのため打ち合わせが必要となりますから、ある程度時間がかかることは覚悟しておくべきでしょう。
オリジナルの墓石を一から作り上げていく場合は、綿密な話し合いが前提となるため、「埋葬までにある程度時間がかかってもよい」と割り切れる人向きの選択肢です。
また「オリジナル墓石の方が、一般的な墓石に比べて必ず高額になる」とまではいえませんが、値段の相場が読みにくいものではあるので、予算や見積もりをしっかりとることも重要です。
・自分の意見を最大限に生かしたデザイン墓石を希望する場合は、生前に作ると確実
上でも軽く述べましたが、デザイン墓石は「その人の好みを最大限反映すること」を目的としているものです。もちろん残されたご家族が故人を思ってデザイン墓石を作るのも良いのですが、「自分の意見を最大限反映した墓石を作りたい」と考えるのであれば、生前にお墓を購入する方法を選ぶことをおすすめします。
現在は終活の一環として生前墓の購入も勧められていますから、墓石店に相談したときも、大きな混乱なく進むことが多いといえるでしょう。
墓石は、最後に選ぶことになる居場所です。納得のいくデザインを選びたいものですね。