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墓石の種類

墓石の種類を把握したい! 墓石の見た目を決める4要素

樹木葬や海洋葬といった自然葬が提案・選択されるようになってきた現在ではありますが、それでも、依然として「従来型の、石でできたお墓」も根強い支持を集めています。
ここではこの「一般的な、従来型の石でできたお墓」を取り上げ、その見た目を決める要素として、

  • ・墓石自体の形
  • ・墓石に使われている材質
  • ・墓石に彫り込まれる文字
について取り上げていきます。

<墓石自体の形について~和型墓石・洋型墓石・デザイン墓石>

墓石

墓石の種類を語るうえで、真っ先に取り上げたいのが、「墓石自体の形」です。これは墓石の見た目を決める要素のなかでも非常に大きな割合を占めるもので、墓石を購入しようとした場合には必ず見なければならないポイントだともいえます。

複数の形がありますが、基本的には、

  • ・和型墓石
  • ・洋型墓石
  • ・デザイン墓石
の3つに分類されます。それぞれの特徴を解説していきます。

【和型墓石】
江戸時代あたりから伝統的にみられる日本型の墓石をいいます。多くの人が「墓石」と聞いて思い浮かべるのは、この和型墓石でしょう。「〇〇家之墓」「南無妙法蓮華経」などと彫り込まれることも多く、非常になじみ深いものです。
縦長の長方形の竿石の下に上台と呼ばれる四角い石が置かれ、それを支える中台と、さらにその下に下台が置かれることになります。また、前面には香炉や水鉢、花立が作られるのが一般的です。香炉でお線香をたき、花立にお花を生けることになります。

私たちが「墓石」「和型墓石」と言われたときにイメージするこの形は、「石塔タイプ」と呼ばれるもので、実は和型墓石のうちの一種類にすぎません。同じように「和型墓石」といっても、そこには多くの種類が含まれます。

たとえば、そのうちのひとつとして、「五輪塔」が挙げられます。五輪塔の場合、「空」を表す空珠形(空輪・くうりん)、「風」を表す半月型(風輪・ふうりん)、火を表す三角形の傘のような石(火輪・かりん)、「水」を表す丸い形の石(水輪・すいりん)、そして竿石に似てはいるもののそれよりも丈の短い方形という「地」を表す石(地輪・じりん)で構成されていて、その下に中台が置かれる形をとります。
この五輪塔は、自然界を表す「空・風・火・水・地」を表すもので、非常に長い歴史を持ちます。上で挙げた石塔タイプの登場は江戸時代だとされていますが、五輪塔の方は平安時代からすでに作られていたとされています。なお、その発案者は、今なお語り継がれる偉大な僧侶である弘法大使だとされています。
ちなみにこの五輪塔は、1基で建てるだけでなく、石碑と一緒に建てられることが多い形式です。ただし、浄土真宗ではあまり見られません。

また、「宝篋印塔」と呼ばれるタイプの和型墓石もあります。多くの人にとってなじみのない漢字で構成されたこれは、「ほうきょういんとう」と読みます。
宝篋印塔は非常に特殊な仏塔であり、基本的には「昔の先祖(100年以上前がひとつの基準)」を供養するために建てられるもので、個人墓の周辺に作られることが多いものです。こちらの宝篋印塔も、非常に長い歴史を持っています。おそらく、五輪塔と同じ時期あたりからみられるようになった形だと推察されています。

このように「和型墓石」といっても、石塔タイプ以外にも五輪塔や宝篋印塔があり、その種類はひとつではありません。ただ現は、やはり石塔タイプが主流です。下記では、特に記さない限り、和型墓石=石塔タイプである、と考えてください。

【洋型墓石】
洋型墓石は、和型墓石と対になって語られることが多いものです。
和型墓石と構成要素は似ており、竿石・中台・下台から成り、ここに花立や水鉢、香炉が設けられるのも同じです。

しかし洋型墓石と和型墓石では、受ける印象がまったく異なります。それは、「洋型墓石と和型墓石では、竿石の形がまったく違うこと」が原因です。

洋型墓石の場合、和型墓石とは異なり、横長の形の竿石を利用することになります。また和型墓石ほどは長辺と短辺の長さが変わらず、縦横の比率の差が大きくないのが特徴です。
また、和型墓石の場合は、竿石がストレートに切られていますが、洋型墓石の場合は斜めにカットされていることもよくあります。この「斜めのカット加工」が記されたものは、特に「オルガン型」と呼ばれます。

上では「基本的な構成要素は和型墓石と変わらず、竿石・中台・下台から成る」としましたが、実際には中台が設けられていないものもあります。竿石・中台・下台がそろったものは「洋二段型」と呼ばれますが、竿石と下台だけから成る洋型墓石は、「洋一段型」と呼ばれます。

墓石の形はいろいろですが、このような特徴を持つため、洋型墓石は、

  • ・洋一段ストレート型
  • ・洋二段ストレート型
  • ・洋一段オルゴール型
  • ・洋二段オルゴール型
の4つに大別されます。またこれに、水垂れ加工(墓の台の部分に傾斜を作り、水がはけやすくする加工のこと)を施したものなどもあります。

【デザイン墓石】
和型墓石や洋型墓石は、多少の違いはあるとはいえ、ある程度の規則性を持つのが一般的です。そのため、どのようなものかのイメージが付きやすいでしょう。

しかしこれが「デザイン墓石」となると、非常にイメージが付きにくくなります。

デザイン墓石とは、「従来の形にとらわれない墓石のスタイル」を指す言葉です。たとえば、「故人は本が好きだったから、本の形の墓石を希望している」「故人は花が好きだったから、丸みを帯びた墓石の真ん中に、異素材の花を入れたい」「ガラスで作ったお墓が欲しい」などのような要望があった場合、従来の墓石の形では対応できないため、この「デザイン墓石」が選択肢として入ってくることになります(※ここでは便宜上、ガラスで作られたお墓も「墓石」として記します)。

ここでは「形」だけに注目しましたが、デザイン墓石の場合は形・色・文字にほぼ制限がないため、非常に自由度の高いお墓となります。言い換えれば、「デザイン墓石ならではの共通点」が見いだせないため、一つひとつの墓石がオリジナルの形をとることになります。

家を建てるときの選択肢として「注文住宅」が挙げられますが、デザイン墓石もまたそれに近しいものだといえるでしょう。それぞれの墓石業者で「出来る範囲」は異なりますが、それでも、故人やご家族の意向を最大限反映できるスタイルであることは大きな魅力です。

もっともこのデザイン墓石は、決まりきった形がないため、打ち合わせ回数を重ねて「どのような墓石が良いか」「どこまで希望を叶えることができるか」のすり合わせを綿密に行っていく必要があります。そのため、埋葬までにある程度の時間をかけられる人向きです。また、デザインや使う材質によって費用も大きく変わってくるため、予算繰りや見積もりを正確に立てることが必要となります。

<墓石に使われている材質~墓石の「石」による違い>

墓石

「墓石」は「石」とつくことからも分かるように、基本的には石で作られるものです。上でも述べたようにガラスを使った墓石や、コンクリートを使った墓石、大理石に代表される人造石を使った墓石もありますが、ここでは「天然の石」を使ったものに限って解説していきます。

【墓石に使われている石の種類】

墓石に使われている石の種類は実は非常に多く、300種類以上もあるといわれています。
そのすべてをここで紹介することは不可能ですから、代表的である「御影石」についてのみ取り上げていきます。

御影石は、花崗岩(かこうがん)」とも記されることがあるものです。墓石について詳しくない人であっても一度は耳にしたことのあるであろう有名なもので、日本各地のみならず、外国でもよく発掘されています。
非常に丈夫で、硬く、風雨に耐えられる頑健さがあります。また水も吸いにくいため、非常に長持ちします。

御影石は、「青御影石」「黒御影石」「白御影石」など、多種多様な種類があります。なかにはピンク色の御影石や赤身を帯びた御影石もあり、カラーバリエーションも豊富です。墓石として利用されることが非常に多いため、特にこだわりがなければこの御影石に落ち着く人が多いといえます。

【外国産か、それとも国産か?】
墓石に限ったことではありませんが、物を買うときには、しばしば「外国産が良いか、それとも国産が良いか?」が議題に上ります。
これに関しては、一概に「外国産の方が良い」「国産の物を選ぶべき」と言い切れることはできません。

ただ、外国産の墓石は国産の墓石に比べてはるかに安価です。また種類も豊富であり、選択肢の広さを重視するのであれば非常に魅力的なものだといえます。
国産の墓石はブランド力が高く、お金はかかるものの高級志向の人に向いています。

なお現在は「外国産であっても、品質は国産のものと変わらない」という意見と、「基本的には品質に変わりはないが、外国産のものだと本当に良い石にあたるかどうかが分からない」とする意見の2つがあります。専門サイトであっても見解が分かれている部分ですから、このあたりも気を付けて選ぶとよいでしょう。

【墓石は、大きくなれば当然費用がかさむ傾向にある】
当たり前のことではありますが、墓石は大きければ大きいほど費用がかさむことになるのが原則です。大きな墓石の場合はそれだけ石の量が必要になりますから、これは当然だといえます。
ただ、墓石の場合は、「もともとの大きさ」のほかにも「加工にどれくらいの手間がかかったか」「どれくらいの石が無駄になったか」によっても金額が変わってきます。また上で挙げたように、「国産の石か、それとも外国産の石か」も値段を決める要素となってきますから、「小さな墓石に比べると、どんな場合であっても大きな墓石の方が高くなる」とまでは言い切れません。

<墓石に彫り込む文字について>

墓石

「墓石に彫り込む文字」によっても、墓石のイメージは大きく変わってきます。ここからは、「墓石に彫り込む文字の種類」について解説していきましょう。

家名……おそらく、もっとも多くの人がイメージする「墓石に彫り込む文字」はこの「家名」なのではないでしょうか。「〇〇家之墓」「〇〇家先祖代々の墓」などのような文字を入れるもので、昔からある伝統的なかたちです。

お経……「南無妙法蓮華経」などのようにお経を彫り込むかたちをいいます。また、「私は仏様に寄与します」という意味を持つ「南釈迦牟尼仏」を彫り込むこともあります。
仏教への帰属を強く意識させる文言であり、寺院墓地などと非常に相性が良いでしょう。

好きな文字を彫り込む……墓石に彫り込む文字には、決まりはありません。そのため、好きな文字を彫り込む人も多く見られます。「想」「絆」「ありがとう」などの文字が比較的多いように思われますが、その人が生前指針としていた言葉や、そのお墓に集うであろう人に向けたメッセージを彫り込むこともあります。

なお、これとは別に「墓誌」というものがあることにも触れておきましょう。
これは上で紹介してきた「墓石」の隣に置くもので、多くはプレートのような形をしています。この墓誌には、「そこのお墓で眠っている人の名前(や没年、没年例など)」が記されています。
墓誌は「必ず設置しなければならないもの」ではありませんが、墓石を購入する際に一緒に入れてもよいでしょう。

<墓石のかたちに正解はない>

墓石

ここまで、「墓石の見た目を決める要素とその種類」について解説してきましたが、お墓の種類やかたちには明確な「正解」はありません。
どのようなお墓を建てても、それはご本人やご家族の自由です。指定石材店などがある場合を除けば、明確なNGが出されることもありません。

お墓は、永劫の時間を過ごす大切な場所です。そのため、ご本人やご家族の意思を最大限に反映したものにするとよいでしょう。たしかに墓石は「墓じまい」「改葬」などの手段で作り直すこともできますが、多額のお金がかかりますし、手間もかかります。そのため、最初にお墓を作る段階で、後悔のないお墓を作ることを意識した方が良いでしょう。

墓石を扱う業者はたくさんあります。綿密に打ち合わせを行い、希望に寄り添おうとしてくれる墓石業者を選ぶようにしてください。またその際には、正確な見積もりを出してもらいましょう。

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