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中国産・インド産・ヨーロッパ産の墓石の違い

墓石、「生まれ故郷」による違い~中国産・インド産・ヨーロッパ産・日本産について

現在の墓石業界では、当たり前のように海外産の墓石が使われるようになっています。
ただ、一口に「海外産の墓石」といっても、その種類や生まれ故郷はさまざまです。
ここでは、

  • ・中国産
  • ・インド産
  • ・ヨーロッパ産
  • ・日本産

の4つについて取り上げ、その特徴を解説していきます。
また、「海外産の墓石をどのように考えるか」についても、合わせて解説していきましょう。

<現在は海外産の墓石の方が圧倒的に多い>

海外産の墓石

日本に昔から伝わる「墓石」が、海外産の石を使って作られているということに、違和感を覚える人もいるかもしれません。特に昔ながらの和型墓石において使われている石材が、日本のものではなく、海外生まれのものだということについては驚く人も多いことでしょう。

しかし実は、海外産の墓石を使うことは今やまったく珍しいことではありません。むしろ、墓石づくりにおいては海外産のものを使うことの方がメジャーなのです。

海外産の墓石(花崗岩)の輸入が開始され始めたのは、昭和40年代になってからのことだといわれています。今から55年ほど前からすでに輸入が開始され始めていて、32年前の昭和64年~平成元年には海外産の墓石の輸入量が頂点に達しました。そしてそれから5年後の平成5年には、「原石の輸入」ではなく「製品の輸入」が増えることになります。つまり、それまでは「海外から取り寄せた海外産の墓石用の素材を、日本で加工する」というやり方をとっていたのが、「海外で加工をし、販売できる墓石の形にして日本に輸入する」のやり方へと変わっていったわけです。
このようなやり方の変化は、その後も続くことになります。現在では、「日本国内でとられた石材を、いったん中国などに輸出し、中国で加工したのちに、製品として日本に再度輸入する」というかたちもよくとられるようになっています。

上では「海外産の墓石の方がメジャーである」としましたが、それは現在の墓石の生まれ故郷の割合を見ればわかるでしょう。現在の墓石は、80パーセント以上が海外産の墓石であり、日本産まれの墓石はわずか20パーセント以下にすぎません。そのため私たちが、特に意識なく墓石を選ぼうとするとき、ほぼ間違いなく「海外産の墓石」にあたるということです。もし日本産の墓石にこだわるのであれば、その旨をはじめから墓石業者に告げて、日本産の墓石のなかから提案してもらえるように働きかけるべきです。

日本では「国産信仰」とも呼ぶべき感覚を持っている人も多くみられます。
そのため、「墓石もやはり国産でなければならない」と考えている人もいるでしょう。
実際、「海外産の墓石では、少し品質に不安がある」とする専門家もいます。
ただ同時に、「海外産の墓石であっても、現在のものはまったく品質面に支障はない」という意見も出ています。このどちらかだけが正しく、どちらかだけが間違っているとはなかなか言えませんが、現在の考え方の主流はどちらかというと後者かと思われます。
「海外産の墓石でトラブルが起きた場合」は、「海外産の墓石そのものがダメだった」というよりも、「それを扱っている業者の対応の方に問題があった」と解釈する方が自然だと思われます。

このような状況をふまえると「海外産の墓石」は、お墓を建てるうえで、除外することのできない選択肢だといえます。
このことを前提として、それぞれの国の墓石の特徴について解説していきます。

出典:レファレンス事例症例名古屋市鶴舞中央図書館「墓石について知りたい。近頃は輸入した石の墓石が多いと聞くがどれくらいか。」
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000077297

<中国産の墓石は割合も非常に多い、バリエーションの豊かさも魅力>

中国産の墓石

「海外産の墓石」のトップとして、まずは「中国産の墓石」を取り上げていきます。

上記で「現在、日本で作られている(使われている)墓石のうちの80パーセント以上が、海外産の墓石である」としました。そのなかでも中国産の墓石の輸入量は群を抜いており、日本に入ってくる墓石の量のうちの第1位を占めています。
そのニーズは非常に高く、特にこだわりなく見ていった場合は、非常に高い確率で中国産の墓石を目にすることになるでしょう。

このように中国産の墓石が人気を博し始めた理由としては、中国産の墓石の持つ「圧倒的に安い価格で提供されている」という特長があります。
もちろん取り扱い業者や石の種類(石の希少性)によっても値段は異なりますが、日本産の墓石に比べるとその価格は3分の1程度に収まることが多く、買い求めやすいのがメリットです。このリーズナブルさは、他の追随を許しません。

また中国産の墓石が人気の理由として、「バリエーションの豊かさ」も挙げられます。非常に多くのバリエーションがあり、愛らしいピンク色をした石や、高級感のある黒色系の墓石なども選べるようになっています。石材店側でも多くのラインアップを提案できるため、注文住宅の内装・外装を選ぶように、「好みの墓石」を選べるというメリットもあるのです。

なおかつては、中国産の墓石は「品質の悪い海外産墓石の代名詞」のような不名誉な扱いをされていた時代もあります。昔から積極的に輸入されてきていましたが、「建立してからわずか1年足らずで変色や破損が起きた」などのような問題も報告されていて、非常に問題視されていました。現在も慎重な意見を持つ専門家もいます。
ただそれでも、ここしばらくで中国産の墓石の品質が大きく改善されたという報告もあります。かつての「安かろう悪かろう」の中国産の墓石は駆逐され、現在は「安くて品質の良い中国産の墓石」も増えてきたといわれています。
信頼できる業者を選べば、中国産の墓石のトラブルリスクを低くすることはできるでしょう。

このような点を踏まえて、中国産の墓石を評価する必要があります。

<インド産の墓石は高品質な石材で作られたものも多く、品質も良い>

インド産の墓石

次に取り上げるのは、「インド産の墓石」です。
お釈迦さま(ブッダ/ゴーダマ・シッダールタ)のお生まれになったインドから、仏教でよく使われる「墓石」が輸入されてくるという事実に、感慨を抱く人もいるかもしれません。

上では「中国産の墓石は昔からよく輸入されている」としましたが、「日本に入ってくる海外産の墓石」としての歴史は、中国産の墓石よりもインド産の墓石の方が長いとされています。長く日本になじんできた海外産の墓石のうちのひとつで、多くの人に愛されてきました。また、インド産の墓石の原料となる石材は、「お墓」に使われるものだけではなく、「灯篭(とうろう)」などにも利用されてきた歴史を持ちます。

インド産の墓石として、「高品質な種類の石のラインアップが豊富である」という特長が挙げられます。
墓石に使われる石材のなかでもっとも有名なのは「御影石」ですが、インド産の墓石はこの御影石のラインアップが特に豊富です。黒御影石だけではなく、少し緑ががった御影石の取り扱いもあります。
中国ほどではないものの、ラインアップは豊富で、選ぶ楽しみがあるのもインド産の墓石の特徴です。

またインド産の墓石は、その「品質の良さ」でもしばしば話題にあがります。
インド産の墓石は、墓石に求められる要素である「吸水性の低さ」をクリアしており、素材の密度も非常に高いという特長があります。艶も失われにくく、経年劣化もしにくいうえ、高い硬度を誇るため、その高品質さで高く評価されている海外産墓石でもあります。
墓石は「長い間使っていくこと」を前提とするものですから、インド産の墓石の持つこのような特徴は、多くの業者・購入者にとって魅力的なものとして映るでしょう。

ただしインド産の墓石の場合、供給量が安定しにくいという欠点があります。このため、インド産の墓石でお墓を作ろうとしてもなかなか難しく、あきらめざるを得ないこともあるかもしれません。このような現状があるため、現在ではインド産の墓石の扱いはやや少なくなっていっています。

<独特の色味が人気を博す、色彩豊かなヨーロッパ産の墓石について>

ヨーロッパ産の墓石

次に、「ヨーロッパ産の墓石」を取り上げましょう。

なおここでは「ヨーロッパ産の墓石」として紹介しますが、「ヨーロッパ産の墓石=北欧産の墓石」と考えるのが適当かと思われます。日本に輸入されているヨーロッパ産の墓石の多くは、スウェーデンやノルウェー、フィンランドといった北欧諸国から入ってくるもので、いわゆる「西欧」のものは決して多くありません。
フランスの石材であるランヘリンや、ポルトガルの石材であるSPIが取り上げられることもありますが、大きな話題になることはあまりありません。そのためここでも、「ヨーロッパ産の墓石=北欧産の墓石」として解説していきます。

ヨーロッパ産の墓石のもっとも大きな特徴は、「独特の色味を見せること」にあります。
ブルーパールと呼ばれる貝殻が入っているかのように美しいきらめきを持つ石材や、非常に美しい光沢を放ち「もっとも高級な海外産墓石」と評されることもあるファイングレーなどのように、非常に美しい石材がそろいます。「スウェーデンマホガニー」と呼ばれる北欧の空気感を表すような温かみを感じさせる赤い色合いの石材もよく産出されています。

このような特長を持つため、墓石に「美しさ」を求める人に特に愛されています。
「ヨーロッパ産の墓石」ということで、洋型墓石に使われている印象を持つ人も多いかと思われますが、実際にはヨーロッパ産の墓石は和型墓石との相性もよく、日本古来の墓石を作る際にもよく利用されています。

<日本産の墓石はやはり高品質、経年劣化に耐えうる強さと美しさを持つ>

日本産の墓石

ここまで海外産の墓石の特徴を紹介してきましたが、最後に「日本産の墓石」の特徴について記していきましょう。

上でも何度か述べているように、現在では日本産の墓石の比率は非常に少なくなっています。「日本のお墓は、日本でとられた石材で作る」という価値観はもうはるか昔のものとなり、現在では海外産の墓石の方が多数派となりました。
しかしそれでも、日本産の墓石は今なお根強い人気を誇ります。

日本産の墓石のこの根強い人気の理由として、「圧倒的な品質の良さ」が挙げられます。日本産の墓石は諸外国の墓石と比べても非常に高品質で、美しく、経年劣化や風雨などにも強いという特長を持っています。なかには、「花崗岩のなかのダイヤモンド」と評されることものもあり(香川県の庵治石)、非常に高い強度ときれいさで高い評価を得ています。

埋葬のかたちが多様化していっている現在ではありますが、基本的には墓石は、「屋根のない屋外に置いてあり、しかも何十年も維持していくことが前提となるもの」です。そのため、美しさだけではなく、強さも求められます。日本産の墓石の場合、100年以上も品質が維持されるとされているものも多く、「墓石というものの特性」によくマッチする墓石が多数みられます。

また日本産の墓石の場合、「石材店がその取り扱いを熟知している」という安心感もあります。
海外産の墓石が増えてきたとはいえ、やはり日本産の墓石は日本で長く使われてきた実績があるため、石材店もそのフォロー方法や手入れ方法を熟知しています。そのため、墓石が壊れてしまったり汚れてしまったりした場合でも、石材店が適切な対応をしやすく、結果的に墓石自体の寿命も延びやすい……といったメリットがあるのです。
長年にわたって積み上げられた実績と情報の蓄積は、日本産の墓石を特別なものとさせています。

ただ日本産の墓石は非常に値段が高いという欠点があります。そのため、この「価格の高さ」がネックとなってくるでしょう。

今や「海外産の墓石」は、日本の墓石のスタンダードになりつつあります。
ただ一口に「海外産の墓石」といってもその種類はさまざまですし、それぞれで異なった特徴をみせます。また、近頃の主流ではなくなっているものの、国内産の墓石も根強い人気を誇っています。
これらは「どの国の墓石だけが優れていて、どの国の墓石が劣っている」といえるものではありません。それぞれの特色をふまえ、予算も考慮に入れたうえで、「自分たちの求める墓石」を模索していく必要があるでしょう。不明点があれば石材店に問い合わせもしてください。

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